はじめに
「防水のはずなのに、最近ゴワつく」「表面で水が弾かずベタッと広がる」——これは素材そのものの劣化ではなく、表面の撥水コーティングが経年で劣化しているサインであることが多いです(山と溪谷オンライン)。この記事では、レインウェアを長く快適に使うための「洗濯」「撥水回復」「保管」を厚く解説します。装備の選定基準はレインウェアの選び方、ザックの容量の選び方を参照してください。
手入れの全体像
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 洗濯方法 | 洗濯ネット使用・デリケート洗い/手洗い、押し洗いのみ |
| すすぎ回数 | 通常の2倍程度(モンベル)/+1回・40℃程度のお湯(finetrack) |
| 撥水回復(熱処理) | 60℃以下の乾燥機・低温アイロン・ドライヤー/110〜120℃アイロン(finetrack) |
| 撥水回復(撥水剤) | エアゾール330mLで上下1本目安、乾燥後4〜5回繰り返し |
| 保管 | ハンガーで陰干し。スタッフバッグに入れっぱなしにしない |
汚れが透湿を妨げる仕組み
防水透湿素材は生地内部の微細な穴で水滴を防ぎつつ水蒸気を逃がす仕組みですが、この機能は汚れの種類によって別々に低下します。皮脂の汚れが付着すると透湿性が低下し、ウェア内部の蒸れを処理しきれなくなります。一方、土汚れに加えてウェアどうしの擦れが重なると撥水機能そのものが低下し、表面が水を弾かずに含むようになります(山と溪谷オンライン)。いずれも表面のコーティング劣化・汚れ付着が原因で、素材本体の防水性能とは区別して考える必要があります。日常の泥汚れは、脱いだ直後に固く絞った雑巾で拭き取ってから陰干しするだけでも蓄積を防げます(好日山荘)。
洗濯の手順
1. 準備: ジッパー・ベルクロ(面ファスナー)をすべて閉じ、フードを出した状態で洗濯ネットに入れる(モンベル) 2. 洗濯: 洗濯機はデリケート洗いコース、または液体洗剤での手洗い。手洗いは押し洗いのみとし、揉み洗いや絞る動作は生地を傷めるため厳禁(finetrack)。柔軟剤・漂白剤は撥水低下の原因になるため使用しない(好日山荘) 3. すすぎ: 洗剤残留は撥水低下につながるため、通常より多めにすすぐ。目安は通常の2倍程度(モンベル)、または+1回を40℃程度のぬるま湯で(finetrack) 4. 脱水・乾燥: 脱水はせず陰干しが基本。乾燥機を使う場合は次項の温度目安を守る
撥水回復の方法
洗濯だけでは撥水コーティングは戻らないため、熱処理と撥水剤で回復させます。
- 熱処理: 乾燥機なら60℃以下、使えなければあて布をして低温アイロン、またはドライヤーを10cmほど離し60℃程度の風を当てる(モンベル)。finetrackは110〜120℃のアイロンを軽くゆっくり滑らせる方法を案内しており、それでも回復しなければ撥水剤を使うとしている。メーカーで目安温度が異なるため取扱表示に従い低めから試す
- 撥水剤: 熱処理で戻らない場合に使用。目安量はエアゾール330mLで上下セットに約1本、リキッド200mLも約1本、つけ込み専用は約1/4本(モンベル)。エアゾールは乾燥後に同じ工程を4〜5回繰り返す。洗濯後・乾燥機に入れる前にたらいで撥水剤と混ぜつけ込む方法(山と溪谷オンライン)、洗濯槽に溶かして手洗いモードで5分ほど撹拌する方法もある(好日山荘)
※ 上記の使用量・回数はモンベル該当ページの現行案内に基づく目安です。製品の仕様や推奨手順はモデル・改定で変わるため、購入・使用する製品の最新の取扱説明・製品ページで必ず確認してください。
型崩れしない保管
洗濯後・使用後にスタッフバッグへ圧縮したまま保管すると生地にダメージを与えうるため、ハンガーにかけ風通しの良い日陰で、直射日光を避けて保管します(山と溪谷オンライン)。ザック本体も詰め込んだまま長期保管せず、中身を空にすると型崩れを防げます。パッキングのコツはザックの背面長・フィッティングとパッキングで解説しています。
安全と手入れ
撥水性能が落ちたレインウェアは表面が水を含みやすく、行動中に濡れて体温を奪われるリスクが高まります。標高の高い場所は平地より気温が低く、濡れは低体温症につながりやすいため、山行前に撥水状態を確認する習慣が安全対策の一部になります。あわせて気象庁の天気予報で山行当日の降水・気温・警報の有無を確認し、日常の拭き取りと定期的な洗濯・撥水回復・陰干し保管を組み合わせて天候急変に備えましょう。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ ジッパー・ベルクロを閉じ、洗濯ネットに入れた
- ☐ デリケート洗い/手洗い(押し洗いのみ)で洗濯した
- ☐ すすぎを通常より多め(2倍程度または+1回)に行った
- ☐ 柔軟剤・漂白剤を使っていない
- ☐ 撥水回復(熱処理または撥水剤)を行った
- ☐ ハンガーで吊り干しし、直射日光を避けて保管した
- ☐ 山行前に撥水状態(水を弾くか)を確認した
よくある失敗と対策
- 柔軟剤を使ってしまい撥水が落ちる: 柔軟剤・漂白剤は使わず、専用の液体洗剤のみを使う
- 揉み洗い・絞る動作で生地を傷める: 手洗いは押し洗いのみにとどめる
- 洗濯後すぐスタッフバッグに詰めて保管する: 完全に乾かしてからハンガーで吊り干し保管する
まとめ
レインウェアの性能を保つ鍵は、汚れをためない洗濯、熱や撥水剤による撥水回復、型崩れしない保管の3点です。特別な道具は不要で、正しい手順を習慣にするだけで防水透湿性能を長く保てます。
次の一歩: 手持ちのレインウェアの撥水状態を確認し、水を弾かなくなっていたら洗濯→撥水回復のお手入れから始めましょう。まだレインウェアを持っていない方はレインウェアの選び方から選定を。
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出典
- モンベル カスタマーサービス「レインウエアのお手入れ方法(洗濯・はっ水処理とリペアについて)」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-23)
- finetrack 公式サポート「アウターシェルのお手入れ方法・取扱い説明書」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-23)
- 山と溪谷オンライン「登山用レインウェアの正しい洗濯・撥水回復方法【自宅で簡単メンテナンス】」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-23)
- 好日山荘 スタートnavi「レインウェアを選ぼう」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-23)
- 気象庁「天気予報」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-23)

