簡易トイレと衛生用品の備蓄|必要数の目安と口腔ケア・生理用品の備え方

簡易トイレと衛生用品の備蓄|必要数の目安と口腔ケア・生理用品の備え方 備蓄・準備

はじめに

「水や食料は備えているけれど、トイレのことまでは考えていなかった」——そう感じる方は少なくありません。断水や配管の損傷で自宅の水洗トイレが使えなくなると、食べることよりも先に困るのがトイレの問題です。

この記事を読み終えるころには、家庭に必要な簡易トイレの数を計算し、消毒・生理用品・口腔ケア用品まで含めた衛生用品の備え方がわかるようになります。トイレの備えは地味に見えますが、備蓄の中でも優先度の高い項目です。

備えは「空振り」でかまいません。簡易トイレを使わずに済んだ年があってもよく、備えること自体を恥じる必要はありません。むしろ困らずに済んだことを喜べる備え方こそが理想です。

なぜ重要か(最新データ)

災害時には断水や下水道配管の損傷により、家庭の水洗トイレが使えなくなることがあります(生活用水の備えは水の備蓄方法と必要量も参考にしてください)。経済産業省は、食べ物・飲み物と同様にトイレの備蓄も大切だとし、成人の1日平均排泄回数は1人5回であることから、1人あたり35回分(7日分)の災害用トイレ備蓄を推奨しています(出典: 経済産業省「トイレ備蓄 忘れていませんか」)。

トイレを我慢することの弊害も報告されています。内閣府(防災担当)のガイドラインによれば、新潟県中越地震では災害用トイレが100人に1基の割合では数が足りないという苦情が多く、トイレが不安で水を飲むのを控えたと回答した人が小千谷市で33.3%、川口町で13.8%にのぼりました。トイレの使用をためらい排泄を我慢すると、水分・食事摂取の減少から脱水症状や静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)等の健康障害を引き起こすおそれがあるとされています(出典: 内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」)。トイレを我慢してしまうこと自体が体調を崩す原因になり得るため、我慢せず使える備えを家庭に用意しておくことが重要です。

本論:簡易トイレの必要数と衛生用品の備え方

1. 携帯トイレの必要数を「回数×人数×日数」で計算する

神奈川県は、断水・停電・排水管や下水道の損傷などさまざまな事情でトイレが使えなくなる可能性があるとし、携帯トイレは「使用回数(1日5回)×家族の人数×日数」で計算し、最低3日分、理想は7日分の備蓄を推奨しています(出典: 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」)。経済産業省が示す1人35回分(7日分)という目安もこの計算式と一致します。たとえば4人家族で7日分を備える場合、1日5回×4人×7日=140回分が目安になります。トイレは水・食料と並ぶ必須の備蓄品として、家族の人数分をまとめて確保しておきましょう。

2. 携帯トイレの種類と使い方を確認しておく

携帯トイレには、既存の便器にかぶせて使う袋タイプや、凝固剤で排泄物を固めるタイプなどがあります。実際に使う場面で戸惑わないよう、購入時に使い方を一度確認しておくと安心です。使用後の袋は自治体のごみ収集ルールに従って処分しますが、災害時は収集が遅れることもあるため、密閉できる袋やゴミ箱を多めに備えておくと衛生的に保管しやすくなります。

3. 消毒・衛生用品をひとまとめにしておく

政府広報オンラインは、非常用持ち出し袋に入れる感染症対策品として、マスク・体温計・アルコール消毒液・手袋を挙げています(出典: 政府広報オンライン「災害に事前に備える」)。手洗いの水が十分に使えない状況では、これらの用品が感染予防の要になります。携帯トイレとあわせて、消毒液やウェットティッシュ、使い捨て手袋を1か所にまとめておくと、いざというときにすぐ取り出せます。

4. 生理用品など女性用の衛生用品を備える

政府広報オンラインは、女性の災害用品として生理用品・清浄綿・化粧品・携帯トイレ・携帯用ビデ等を挙げています(出典: 政府広報オンライン)。避難生活が長引くと入手が難しくなることもあるため、普段使っている製品を人数分、多めに備えておきましょう。携帯用ビデや清浄綿は、断水で入浴やシャワーが使えない期間の衛生保持にも役立ちます。

5. 断水時でもできる口腔ケアを知っておく

厚生労働省は、避難生活では水不足により歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになりやすく、歯みがきができない場合でも少量の水で行う「ぷくぷくうがい」等の口腔ケアが、誤嚥性肺炎など呼吸器感染症の予防に重要だとしています(出典: 厚生労働省「災害時のお口(くち)のお手入れについて」)。歯ブラシやコップ1杯程度の水がなくても、うがいだけで口の中を清潔に保つ方法があることを知っておくと、断水時にも実践しやすくなります。入れ歯を使っている場合は、洗浄剤や入れ歯用の保管容器も備えに加えておきましょう。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 携帯トイレを「1日5回×家族人数×7日分」で計算し、備えた
  • ☐ 携帯トイレの使い方(袋のかぶせ方・凝固剤の使用方法)を確認した
  • ☐ 使用後の携帯トイレを保管する密閉袋・ゴミ箱を多めに用意した
  • ☐ マスク・アルコール消毒液・使い捨て手袋を備えた
  • ☐ 生理用品・清浄綿・携帯用ビデなど女性用衛生用品を人数分多めに備えた
  • ☐ 断水時の口腔ケア方法(少量の水でのうがい等)を家族で確認した
  • ☐ 入れ歯を使う家族がいる場合、洗浄剤・保管容器を備えた

対象別ワンポイント

  • 子育て世帯: おむつ交換の際に使う消毒液やおしりふきを多めに備え、子ども用の携帯トイレ(補助便座付きなど)も検討しましょう。
  • 高齢者: 入れ歯の洗浄剤・保管容器や、持病に応じた清拭用品を備え、トイレの回数が多い場合は携帯トイレの数を多めに見積もります。
  • 単身者: 家族分の計算式がそのまま1人分にも使えます。1日5回×7日分=35回分を目安に、無理のない範囲でまとめ買いしておきましょう。

地域レイヤー補足

ここでは全国共通のトイレ・衛生用品の備蓄を扱いました。都市直下型地震では下水道管の損傷による断水の長期化が、南海トラフ地震では広域断水により復旧までの期間が延びる可能性があります。お住まいの地域の水道・下水道の復旧想定は、自治体のハザードマップや「自分のまち」の情報とあわせて確認しておきましょう。

まとめ

トイレと衛生用品の備えは、(1) 携帯トイレを回数×人数×日数で計算する、(2) 使い方と保管方法を確認する、(3) 消毒用品をまとめておく、(4) 生理用品など女性用衛生用品を多めに備える、(5) 断水時の口腔ケア方法を知っておく、の5点に集約されます。まずは家族の人数で必要な携帯トイレの数を計算するところから始めましょう。

次の一歩: 防災備蓄リストの作り方を参考に、計算した携帯トイレと衛生用品の数を備蓄リストに書き加えてみましょう。

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出典

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