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はじめに
「台風の備えは持ち出し袋くらい」——そう考えていると、意外に困るのが停電と断水です。強風で電線や電柱が傷つくと、数日にわたって電気が使えなくなることがあります。電気が止まると、照明・冷蔵庫・スマートフォンの充電・水道(マンションの給水ポンプ)まで一度に使えなくなります。
この記事を読み終えるころには、台風による停電・断水に備えて「電源・水・調理・トイレ」を何をどれだけ用意すればよいかが分かり、今日から少しずつそろえられるようになります。ここで扱うのは発生前の「備え」です。実際に停電・断水が起きてから在宅で乗り切る対処は停電・断水になったら|在宅で乗り切る対処リストにまとめています。
停電や断水は「起きてから買いに走る」のでは間に合いません。「うちは大丈夫」と後回しにせず、平常時に少しずつ備えておくことが、いざというときの安心につながります。備えは空振りで構いません。
なぜ重要か(最新データ)
台風による停電は、決してまれなことではありません。2019年(令和元年)の房総半島台風(台風15号)では、送電・配電の設備が大きな被害を受け、最大で約93万戸が停電しました。倒木の処理などに時間がかかり、地域によっては復旧が長期化しました(出典: 内閣府 令和2年版 防災白書)。
停電が長引くと、冷蔵庫の食品が傷み、スマートフォンの充電が切れて情報が得られなくなり、マンションではポンプが止まって断水します。だからこそ、飲料水・食料とあわせて電源・調理手段・トイレまで含めて備えることが大切です。飲料水は、首相官邸も1人1日3リットルを目安に最低3日分(大規模災害時は1週間分)を推奨しています(出典: 首相官邸 災害に対するご家庭での備え)。
本論:台風の停電・断水に備える TOP5
1. 明かりと情報の電源を確保する
停電に備え、懐中電灯・乾電池式の携帯ラジオ・予備の乾電池を用意します。スマートフォンは情報と連絡の生命線なので、モバイルバッテリーを満充電にしておき、台風接近が分かった時点で各機器を充電しておきます。電気自動車やプラグインハイブリッド車があれば、車内コンセント(AC100V・最大1500W)から給電できます。使うときはシフトをパーキングにして平らな場所に停め、たこ足配線を避け、換気の良い場所で行い、浸水・冠水した車両は感電のおそれがあるため使わないでください(出典: 資源エネルギー庁)。
2. 飲料水と生活用水を分けて備える
飲料水は1人1日約3リットルを目安に、最低3日分(1人あたり9リットル)を確保します(出典: 首相官邸/農林水産省)。トイレを流す・手や体を拭くといった生活用水は飲料水とは別に必要なので、台風接近前に浴槽に水を張っておくと役立ちます。マンションでは停電でポンプが止まると断水するため、戸建てより早めの汲み置きを意識します。
3. カセットコンロで調理と湯を確保する
停電・ガス停止時でも、カセットコンロがあれば温かい食事や湯が作れます。ボンベは1人あたり1週間で約6本が目安とされ、あわせて備えます。使用期限の目安はボンベで約7年、コンロで約10年です(出典: 農林水産省 食品ストックガイド)。ボンベは直射日光の当たる場所や高温になる場所に置くと破裂・引火のおそれがあるため、涼しい場所で保管してください(出典: NITE)。調理の工夫は停電時の調理と食事の備えも参考にしてください。
4. 携帯トイレ・簡易トイレを用意する
断水すると水洗トイレが使えなくなります。トイレの使用回数は1人1日およそ5回が目安とされ、これに家族の人数と日数をかけた個数の携帯トイレ(便袋)を備えます(出典: 内閣府 トイレガイドライン)。最低3日分、できれば1週間分あると安心です。トイレの備えと衛生の詳細は簡易トイレの備えと避難時の衛生対策で解説しています。
5. 停電時の「やってはいけない」を知っておく
停電時は、次の点に注意します。避難で家を離れるときは必ずブレーカーを切る(通電が復旧したときに壊れた電気機器から出火する「通電火災」を防ぐため)。発電機は屋内で絶対に使わない(一酸化炭素中毒のおそれ)。切れて垂れ下がった電線・倒れた電柱・破損した太陽光パネルには近づかない(感電のおそれ)(出典: 資源エネルギー庁)。停電が復旧したら、冷蔵庫の食品は傷んでいないか確認してから口にします。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 懐中電灯・携帯ラジオ・予備電池を用意し、モバイルバッテリーを満充電にした
- ☐ 飲料水を1人1日3L×3日分以上、生活用水として浴槽に水を張る準備をした
- ☐ カセットコンロとボンベ(1人1週間約6本目安)を備え、涼しい場所で保管した
- ☐ 携帯トイレ・簡易トイレを人数×日数(1人1日約5回目安)で用意した
- ☐ 避難時はブレーカーを切る・発電機は屋内で使わない、を家族で共有した
対象別ワンポイント
- 子育て世帯: 停電で暗くなると子どもが不安がります。手元を照らせるライトを人数分用意し、ミルクの調乳や離乳食の温めにカセットコンロが役立ちます。液体ミルクは湯がなくても使えるため備えておくと安心です。おむつ替え用に携帯トイレや大きめのポリ袋も多めに。
- 高齢者: 停電で電動ベッド・在宅医療機器・エアコンが止まると健康に影響します。医療機器を使っている場合は非常用電源の確保と、かかりつけ医・電力会社への事前相談を。夏の停電は熱中症にも注意し、飲料水を多めに備えます。
- 単身者: 一人だと停電・断水の負担がすべて自分にかかります。最低3日分の水・食料・携帯トイレ・モバイルバッテリーを基本セットとして常備し、スマートフォンの充電手段を二重に用意しておくと安心です。
地域レイヤー補足
ここでは全国共通の停電・断水対策を扱いました。台風の通り道になりやすい地域や、電線が地上にある住宅地では停電の可能性が高まります。オール電化住宅は停電で調理・給湯・暖房が同時に止まるため、カセットコンロなど電気に頼らない手段の備えが特に重要です。お住まいの地域の停電リスクや過去の被害は「自分のまち」の情報で確認しておきましょう。
まとめ
台風の停電・断水対策は、(1) 電源(明かり・充電)、(2) 水(飲料水と生活用水)、(3) 調理(カセットコンロ)、(4) トイレ(携帯トイレ)、(5) 停電時の安全 の5つに整理できます。どれも台風が来てからでは間に合いません。電気・水が止まっても数日は自宅で過ごせる状態を、今日から少しずつ整えていきましょう。
次の一歩: まずモバイルバッテリーを満充電にし、停電時の調理と食事の備えを参考にカセットコンロとボンベの在庫を数えてみましょう。
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出典
- 首相官邸 災害に対するご家庭での備え(最終確認: 2026-07-23)
- 資源エネルギー庁 「停電」の時にすべきこと・すべきでないこと(公表: 2021-06 / 最終確認: 2026-07-23)
- 農林水産省 災害時に備えた食品ストックガイド(カセットコンロ等)(最終確認: 2026-07-23)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)カセットボンベの事故防止(公表: 2023-12 / 最終確認: 2026-07-23)
- 内閣府 避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(改定: 2024-12 / 最終確認: 2026-07-23)
- 内閣府 令和2年版 防災白書(令和元年房総半島台風)(公表: 2020 / 最終確認: 2026-07-23)
