はじめに
「うちは大丈夫」「狙われるのは留守がちな家だけ」——防犯はつい後回しになりがちです。けれど空き巣も特殊詐欺も、事件が起きてから対策するのでは間に合いません。そして「自分や家族に限ってだまされない」という思い込み(正常性バイアス)こそが、対策を遅らせる最大の落とし穴です。
この記事を読み終えるころには、子育て世帯のご家庭がいま家族で備えておくべき防犯対策を5つに整理し、今日から1つずつ始められるようになります。高齢の親御さんや一人暮らしのご家族にも当てはまる内容なので、あわせて共有してください。
防犯は「念のため」で構いません。疑うこと・確認することを恥じず、平常時に家族のルールを決めておくことが、いざというときに自分と大切な人を守ります。
なぜ重要か(最新データ)
特殊詐欺の被害は深刻さを増しています。警察庁の確定値によると、2024年(令和6年)の特殊詐欺の認知件数は2万1,043件(前年比10.5%増)、被害額は718億8,000万円(前年比58.8%増)と、700億円を超えました。被害者の約65%は65歳以上の高齢者です。さらに、警察官を名乗る「ニセ警察詐欺」が急増し、SNSをきっかけにした投資・ロマンス詐欺の被害額も大きく伸びています(出典: 警察庁 特殊詐欺統計/SOS47)。
背景には、SNSで実行役を募る「闇バイト」を入り口とした匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の存在があります。指示役は匿名のまま実行役を使い捨てにする構図で、見ず知らずの若者が強盗や特殊詐欺の重大事件に巻き込まれる例も相次いでいます(出典: 政府広報オンライン)。
一方、住宅を狙う侵入窃盗で最も多い手口は、特別な技術を要するものではありません。侵入手口で最も多いのは「無締まり」(鍵のかけ忘れ・無施錠)で約5割を占め、次いで窓などの「ガラス破り」が約3割です(令和6年、警察庁 住まいる防犯110番)。裏を返せば、発生前にできる基本的な対策で、多くの被害は防げるということです。
本論:発生前の防犯対策 TOP5
1. 侵入対策:ワンドア・ツーロックと窓の備え
玄関ドアは補助錠を足して鍵を2つにする「ワンドア・ツーロック」にすると、解錠に時間がかかり、空き巣に敬遠されます。窓には補助錠や防犯フィルムを貼り、ドア枠にはガードプレートを付けてこじ開けを防ぎます(出典: 警察庁 住まいる防犯110番)。何より大切なのは、ゴミ出しや短時間の外出でも必ず施錠する習慣です。侵入の約5割は無締まりが原因だからこそ、ここが最優先です。
2. 詐欺・闇バイト知識:手口を家族で「共有」する
口座が犯罪に使われていると警察官や役所を名乗る電話、SNSのビデオ通話で偽の警察手帳を見せる——これらは典型的な詐欺の手口です。警察や銀行が電話やSNSで現金やキャッシュカードを要求することはありません。家族で「お金の話が出たら一度切って、家族か警察に確認する」と決めておきましょう。あわせて「簡単に高収入」「即日現金」をうたう闇バイトは犯罪の入り口です。求人に氏名・住所・賃金などの記載がない、秘匿性の高いSNSアプリに誘導される募集には絶対に応募しないと、お子さんとも共有してください(出典: 政府広報オンライン)。
3. SNS・個人情報管理:発信する前に立ち止まる
旅行中の投稿は「いまは留守」という合図になり、制服や家の外観、位置情報は子どもの行動範囲を特定されるきっかけになります。「いつ・どこ」が分かる情報はリアルタイムで出さない(旅行は帰宅後に投稿)、公開範囲を見直す、子どもの顔や学校が分かる写真は慎重に扱う、を家族のルールに。詐欺グループは公開情報から接点を作ります。
4. 子どもの見守り:通学路と「いかのおすし」
子どもには防犯ブザーやGPS端末をすぐ鳴らせる位置に持たせます。親子で通学路を歩き、危険な場所と、逃げ込める「子供110番の家」を確認しておきましょう(出典: こども家庭庁 登下校の安全Q&A)。警視庁が考案した合言葉「いかのおすし」(ついていかない・くるまにのらない・おおごえをだす・すぐにげる・しらせる)は、声を出す・逃げる練習(ロールプレイ)を繰り返すと、いざというとき体が動きます。
5. 訪問・電話対応ルール:家族で「決めておく」
在宅でもドアチェーンを掛けたまま応対し、訪問者はその場で家に入れず、必要なら所属先に折り返して確認します。留守番中の子どもには「インターホンが鳴っても出ない・ドアを開けない」を徹底しましょう。電話は留守番電話を常時オンにし、知らない番号にはいったん出ない設定が有効です。「家族の合言葉」はなりすまし電話を見破る助けになります。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 玄関をワンドア・ツーロックにし、窓に補助錠・防犯フィルムを付けた
- ☐ 短時間の外出・ゴミ出しでも必ず施錠する習慣にした
- ☐ 詐欺の手口(ニセ警察・還付金・SNS投資)と「闇バイトに応募しない」を家族で共有した
- ☐ SNSの公開範囲を見直し、「いつ・どこ」が分かる投稿は控えると家族で決めた
- ☐ 子どもに防犯ブザー/GPSを持たせ、通学路と「子供110番の家」を一緒に確認した
- ☐ 留守番中は「インターホンに出ない・ドアを開けない」を家族ルールにした
- ☐ 留守番電話を常時オンにし、知らない番号にはすぐ出ない設定にした
対象別ワンポイント
- 子育て世帯: 通学路の危険箇所と「いかのおすし」を一緒に練習し、留守番のルール(出ない・開けない・すぐ家族へ連絡)を年齢に合わせて具体的に決めておくと安心です。
- 高齢者: 被害の中心は高齢者です。「ニセ警察」「還付金が戻る」「ATMへ行って」はすべて詐欺の合図。固定電話は常時留守番電話にし、お金の話は必ず家族に相談する、を合言葉に。離れて暮らす場合はこまめな連絡が抑止力になります。
- 単身者: 在宅・不在を悟られない工夫が要です。表札や郵便受けに情報を出しすぎない、SNSで一人暮らしや生活パターンが特定されない発信を心がけ、玄関は必ずツーロックにしましょう。
地域レイヤー補足
ここでは全国共通の防犯対策を扱いました。空き巣や闇バイト強盗は都市部で多く、人の出入りが多い集合住宅では「無締まり」対策がとくに重要です。なお、国の被害想定が見直された地震(首都直下地震は2025年12月、南海トラフ巨大地震は2025年3月)を踏まえると、災害後に留守宅が狙われる「火事場泥棒」への備えも防犯の一部です。お住まいの市区町村の防犯情報・不審者情報も「自分のまち」の視点で確認してください。
まとめ
発生前の防犯対策は、(1) 侵入対策(ツーロック)、(2) 詐欺・闇バイト知識の共有、(3) SNS・個人情報管理、(4) 子どもの見守り、(5) 訪問・電話対応ルール の5つに集約されます。どれも費用をかけずに今日から始められ、家族で共有することで効果が高まります。すべてを一度にやる必要はありません。まずは1つ、できることから始めましょう。
次のアクション(CTA): 今日、玄関の施錠習慣を見直しましょう。短時間の外出でも鍵をかける、補助錠を1つ足す——その小さな一歩が空き巣を遠ざけます。あわせて「我が家の防犯チェックリスト」を家族で記入してみてください。
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出典
- 警察庁・SOS47 特殊詐欺対策ページ(公表: 2025-12 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/
- 警察庁 令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)(公表: 2025-05 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf
- 警察庁 住まいる防犯110番 侵入窃盗の手口・住まいの防犯対策(公表: 2025-03 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1_main.html
- 政府広報オンライン 匿名・流動型犯罪グループ対策(闇バイト)(公表: 2025-10 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.gov-online.go.jp/article/202510/tv-6178.html
- こども家庭庁 登下校の安全Q&A(公表: 2025-04 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/bouhan/Q%EF%BC%86A

