はじめに
海霧による視界不良は、風や波のような分かりやすい荒れ方をしないぶん、対応が遅れがちな気象リスクです。海霧が出やすい条件と季節、濃霧注意報と海上濃霧警報の違い、視界が悪くなったときに堤防・磯とボート(小型船)でとる行動を、海上保安庁・気象庁の一次情報で解説します。陸と船では確かめる情報も引き揚げ方も違うため、分けて説明します。
海霧が出やすい条件と季節
第七管区海上保安本部の「マリンレジャー安全情報」によると、海霧は気温が水温より高くなる3月から7月の時期に発生しやすくなります。同資料は、移流霧は濃霧になりやすく霧の継続時間も長いため、発生した海域では船舶にとって大きな障害になるとしています。
地域の例では、銚子海上保安部が「濃霧による視界不良に注意」で、例年春から夏にかけて銚子沖では濃霧が発生する日が多くなると案内しています。
視界不良に備える装備
ライフジャケットと通信手段
海上保安庁は、釣りに最低限必要な装備として、ライフジャケット、釣り場に応じた履物、通信装備(防水ケース入り携帯電話)、その他状況に応じた身を守るための持ち物を挙げています。堤防・磯でもボートでもライフジャケットを着用し、携帯電話は防水ケースに入れて携行してください。
視界不良時の行動(撤退の手順)
撤退の目安は、このサイトの編集方針として、出発前は注意報で中止・延期を基本、活動中は注意報で早めに撤退、警報以上で直ちに撤退としています(気象庁や海上保安庁の基準ではありません。詳しくは海の警報・注意報の種類と確認方法)。
1. 出発前に確認する(陸・ボート共通)
海上保安庁は、釣りに行く際は事前に釣り場の気象・海象を確認し、警報や注意報が発令されるなど荒天が予想される場合は釣りを控えるよう呼びかけています。気象庁の気象警報・注意報では、濃霧は注意報の対象にだけ入り、警報はありません。陸では濃霧注意報が最も高い段階なので、軽く見ずに中止・延期してください。
ボートで出るなら、海上濃霧警報も確かめます。第七管区海上保安本部は、天気予報で注意報・警報の発令状況を確認し、危ない時は出港を取り止めることが一番大事だとし、波が穏やかでも海上濃霧警報が発令されているときは出港を控えるよう呼びかけています。
2. 堤防・磯にいるとき
活動中に濃霧注意報が出たら、霧が晴れるのを待たずに早めに撤退します(このサイトの方針)。発表が無くても、霧で堤防の縁やテトラ帯の足場が確かめにくくなったら切り上げることを勧めます(同)。転落など、海難や人身事故に遭遇・目撃したときは118番で救助を要請します。
3. ボートで霧が出てきたら
第七管区海上保安本部の「マリンレジャー安全情報」第69号(平成23年5月)の事例では、5月8日午前7時頃に定係港を出港し沖合で釣りをしていたところ、1時間ほどで濃霧となり陸岸が見えなくなりました。昼頃には視界が回復するだろうと釣りを続けたものの霧は晴れず、自力で帰ろうと方向が分からないまま走り回るうちに燃料がなくなり、翌9日午前3時40分に118番で救助を求めました。
ボートでは陸岸や自分の位置が確かめられるうちに帰港し、活動中に濃霧注意報が出たら早めに、海上濃霧警報が出たら直ちに引き揚げます(このサイトの方針)。帰港中は、状況に応じた安全な速力での航行と適切な見張り、海上保安庁が提供する霧通報・海の安全情報の活用を心がけます(銚子海上保安部の呼びかけ)。
4. ボートで位置が分からなくなったら
第七管区海上保安本部は、GPS・コンパス等の航海計器を持たない小型船で位置が分からなくなったら、むやみに走り回らず錨を入れて漂流を防ぎながら救助を要請することが大事なポイントだとしています。燃料が尽きるまで走り回らず、気づいた時点で錨を入れ、118番で救助を求めてください。
時期とポイント
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 発生しやすい時期 | 気温が水温より高くなる3月〜7月 |
| 濃霧注意報(陸) | 濃い霧による災害のおそれを予想したときに発表。陸では最も高い段階 |
| 海上濃霧警報(船舶向け) | 視程0.3海里(約500m)以下(瀬戸内海は0.5海里(約1km)以下) |
安全とルール
ライフジャケットを正しく着用する
海上保安庁は、ライフジャケットのベルト(股ベルト等)やファスナーを確実に締めて適切に着用するよう呼びかけています。
濃霧注意報と海上濃霧警報の違い
気象庁「気象警報・注意報の種類」によると、濃霧注意報は、濃い霧により災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。一方、気象庁「海上警報・予報」によると、海上濃霧警報は日本近海の船舶向けの海上警報の一つで、視程の基準は0.3海里(約500m)以下(瀬戸内海は0.5海里(約1km)以下)です。
118番への通報
海上保安庁は、海上における事件・事故の緊急通報用電話番号として118番を運用しています。救助要請が必要な事件・事故の一例に、海難や人身事故に遭遇した、または目撃したときを挙げ、通報の際は「いつ」「どこで」「なにがあった」など簡潔に落ち着いて伝えるよう呼びかけています。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 出発前に濃霧注意報(ボートは海上濃霧警報も)を確認した
- ☐ 注意報・警報が出ていれば、波が穏やかでも出発を見合わせると決めている
- ☐ ライフジャケットを着用し、ベルトやファスナーを締めた
- ☐ 118番へ通報できる携帯電話を防水ケースに入れた
- ☐ 活動中は濃霧注意報で早めに、海上濃霧警報で直ちに撤退すると同行者と決めている
- ☐ ボートでは陸岸が見えるうちに帰港し、位置を見失ったら錨を入れて118番と決めている
よくある失敗と対策
- 「波が穏やかだから大丈夫」と出かける: ボートは波が穏やかでも海上濃霧警報が発令されていれば出港を控える。陸は濃霧注意報で中止・延期する(このサイトの方針)
- 「そのうち晴れる」と続ける: 移流霧は霧の継続時間が長い。陸は注意報で早めに撤退し、ボートは陸岸が見えるうちに帰港する(手順2・3)
- 位置を見失って走り回る(ボート): 燃料が尽きるまで走り回らず、気づいた時点で錨を入れて漂流を防ぎ、救助を要請する(手順4)
まとめ
海霧は気温が水温より高くなる3月から7月に発生しやすくなります。陸は濃霧注意報、ボートは海上濃霧警報も出発前に確かめ、出ていれば中止・延期を基本とし、活動中は濃霧注意報で早めに、海上濃霧警報で直ちに撤退し、ボートは陸岸が見えるうちに帰港するのがこのサイトの目安です。位置を見失ったら、むやみに走り回らず錨を入れて漂流を防ぎながら救助を要請してください。
次の一歩: 海の警報・注意報の種類と確認方法で、撤退の目安の考え方を確認しておきましょう。
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出典
- 第69号(平成23年5月)マリンレジャー安全情報|第七管区海上保安本部(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 濃霧による視界不良に注意|銚子海上保安部(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 気象警報・注意報の種類 | 気象庁(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 海上警報・予報 | 気象庁(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 気象庁「気象警報・注意報」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 釣りをする際の行動について| ウォーターセーフティガイド(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「最低限必要な装備について」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)
- 海上保安庁 海の「事件・事故」は118番(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-24)

