はじめに
海水浴やサーフィンなどで海に入るときに知っておきたいのが、沖に向かって流れる「離岸流(リップカレント)」です。本記事では、海上保安庁の一次情報をもとに、離岸流の仕組みと起きやすい場所・見分け方、近づかないための備えをまとめます。万一流されたときの基本行動もあわせて紹介しますが、詳しい対処は離岸流に流されたときの浮き方|助けてサインの出し方と、陸へ向かうか待つかの判断で解説します。
離岸流の仕組み
離岸流とは
海上保安庁は、沖に向かって発生する強い流れ「離岸流(リップカレント)」に注意しましょうと呼びかけています。第一管区海上保安本部 海洋情報部によると、離岸流は岸から沖へ向かって流れる海水の流れのことで、その流速は毎秒2mに達する場合もあります。海上保安庁は、離岸流はとても強い流れのため、一旦この流れに巻き込まれてしまうと、気がつかないうちに沖まで流されてしまい大変危険だとしています。
砂浜で起きる仕組み
銚子海上保安部によると、外洋に面した遠浅の長い砂浜の海岸では、波打ち際近くの海底に砂が堆積してサンドバンクが形成されます。サンドバンクを超えて押し寄せた波は、沖に戻ろうとして海岸に沿うような流れである沿岸流(サイドカレント)を形成します。そして沿岸流がサンドバンクの弱い部分を決壊させて沖に流れる通り道(「みよ」などと呼ばれる)を形成し、離岸流が発生します。
起きやすい場所
第一管区海上保安本部 海洋情報部によると、離岸流は、海岸線のどこでも起こる可能性があり、沖へ数十メートルから数百メートルに及ぶことがあります。発生しやすいのは、海岸が太平洋や日本海などの外洋に面している、遠浅で海岸線が長い、波が海岸に対して直角に入る、の3つを充たしている海岸です。
海上保安庁は、突堤やヘッドランドなどの構造物付近では、離岸流等の複雑な流れが発生しやすくなることから、泳がないようにしましょうと呼びかけています。銚子海上保安部も、磯場の深みや海岸に設置された防波堤、離岸堤、ヘッドランドなどの浸食防止堤の周囲には常に沿岸流や離岸流が発生しているとしています。
海面の様子で見分ける
銚子海上保安部は、離岸流が発生している場所の特徴として、周りで波が崩れているのにそこだけ波が崩れていない場所、海面がざわつきゴミや泡が沖へ流されている場所、水流で砂が巻き上げられたり水深が深く色が濃いなど海面の色がほかと違う場所の3つを挙げています。そのうえで、流れに逆らって離岸流から抜け出すことは難しいため、離岸流に近づかないことが大切だとしています。
近づかない・巻き込まれないための備え
泳ぐ前・遊ぶ前に海岸で見るところ
海に入る前に、次を海岸で確認しましょう。
- 突堤やヘッドランドなどの構造物が近くにないか
- そこだけ波が崩れていない所、ゴミや泡が沖へ流れている所、海面の色がほかと違う所がないか
海面の様子が当てはまる場所には近づかず、構造物の付近では泳がないようにします。構造物の無い砂浜でも、離岸流は起こる可能性があります。
構造物の付近で泳がない・上で遊ばない
構造物の付近で泳がないことは、上の「起きやすい場所」のとおりです。また海上保安庁は、濡れている構造物は滑りやすく誤って海に落ちてしまう可能性があるため、構造物の上で遊ばないよう呼びかけています。
流されたときの行動
万一流されたときの行動は次のとおりです。
「助けてサイン」で周りに知らせる。自力で陸地に向かえるなら落ち着いて近くの陸地へ向かい、離岸流に流されたら海岸と平行に泳いで流れから出る。自力で向かうのが難しければ、楽な姿勢で浮いて救助を待つ。
ただし、海上保安庁の「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」によると、ライフジャケットなどの浮力体を身に着けていない場合で、浮いていることが精一杯の場合には、手を大きく振ると沈んでしまう可能性があります。また、溺れている状態で助けてサインを行うことは、十分な浮力が確保できなくなるため危険です。この2つの状態のときは手を振らず、楽な姿勢で浮いて救助を待ちます。
離岸流の範囲は狭いため、流れを抜けると沖に流されなくなります。幅は約10mから30mほどです。
「助けてサイン」の出し方や、陸へ向かうか浮いて待つかの判断は、離岸流に流されたときの浮き方|助けてサインの出し方と、陸へ向かうか待つかの判断で確認してください。
場面ごとの目安
| 場面 | 確認すること・目安 |
|---|---|
| 泳ぐ前 | 構造物が近くにないか、そこだけ波が崩れていない所・ゴミや泡が沖へ流れている所・海面の色が違う所がないかを見る |
| 遊泳中 | 構造物の付近で泳いでいないか、海面の様子が周囲と違わないかを意識する |
| 海水浴場を選ぶとき | 海水浴場の選び方を下記「安全とルール」で確認する |
| 天候が変わってきたとき | 海のレジャー中の天気急変のサインの基準で判断する(警報・注意報は下記「安全とルール」) |
安全とルール
海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「海で遊ぶときの注意(遊泳)」は、沖に向かって発生する強い流れ「離岸流(リップカレント)」に注意しましょうと呼びかけ、突堤やヘッドランドなどの構造物付近では泳がないよう求めています。海水浴場の選び方は海の水難事故を防ぐ備え|浮力体・海水浴場選びと、溺れた人を見たときの通報先で確認してください。天候が変わってきたときの撤退の基準は海のレジャー中の天気急変のサインや海の警報・注意報の種類と確認方法で確認してください。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 泳ぐ前に突堤・ヘッドランドなど構造物が近くにないか確認した
- ☐ そこだけ波が崩れていない所・ゴミや泡が沖へ流れている所・海面の色が違う所がないか確認した
- ☐ 海水浴場の選び方を「安全とルール」で確認した
- ☐ 自力で陸地に向かえるなら(離岸流なら海岸と平行に泳いで流れから出る)、難しければ楽な姿勢で浮いて救助を待つ、という分かれ目を確認した
- ☐ 「助けてサイン」の出し方と、出してはいけない状態(浮力体が無く浮くのが精一杯のとき・溺れている状態)を確認した
- ☐ 天候急変時の撤退の基準を確認した
よくある失敗と対策
- 突堤やヘッドランドのすぐそばで泳いでしまう: 構造物付近は離岸流等の複雑な流れが発生しやすい場所です。構造物付近では泳がない
- 流れに逆らって岸へ向かって泳ごうとする: オリンピック選手のように泳ぎが得意な人でも、離岸流に逆らって泳ぐことは難しいと言われています。上の「流されたときの行動」のとおり行動する
- 構造物の無い砂浜なら安心と思い込み、海面の様子を見ずに海に入る: 離岸流は海岸線のどこでも起こる可能性があります。そこだけ波が崩れていない所・ゴミや泡が沖へ流れている所・海面の色がほかと違う所がないか、入る前に確認する
まとめ
離岸流は海岸線のどこでも起こる可能性があり、とくに外洋に面した遠浅で海岸線が長く波が直角に入る海岸や、突堤・ヘッドランドなどの構造物付近で発生しやすくなります。そこだけ波が崩れていない所・ゴミや泡が沖へ流れている所・海面の色が違う所を泳ぐ前に確かめ、離岸流に近づかないようにしましょう。万一流されたときの行動は、上の「流されたときの行動」で紹介した基準のとおりです。
次の一歩: 「助けてサイン」の出し方と、陸へ向かうか浮いて待つかの判断は離岸流に流されたときの浮き方|助けてサインの出し方と、陸へ向かうか待つかの判断で確認しましょう。
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出典
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「海で遊ぶときの注意(遊泳)」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)
- 第一管区海上保安本部 海洋情報部「離岸流とは」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)
- 銚子海上保安部「離岸流について」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)

