はじめに
海で泳いでいる最中に、思ったより沖に流されていることに気づいた経験はないでしょうか。離岸流に逆らって泳ぐのは、オリンピック選手のように泳ぎが得意な人でも難しいと言われています。本記事では、流された・泳いでいて不安を感じたときに、その場でどう行動すればよいかを海上保安庁の一次情報をもとにまとめます。離岸流そのものの仕組みは離岸流(リップカレント)とは|突堤・ヘッドランド付近と見分け方、近づかないための備え、水難事故全体の備えは海の水難事故を防ぐ備え|浮力体・海水浴場選びと、溺れた人を見たときの通報先で解説しています。
離岸流の危険性と対象
離岸流はとても強い流れのため、一旦この流れに巻き込まれてしまうと、気がつかないうちに沖まで流されてしまい大変危険です。離岸流がどこで発生しやすいか・見分け方は離岸流(リップカレント)とは|突堤・ヘッドランド付近と見分け方、近づかないための備えで詳しく解説しているので、本記事では「流された・不安を感じた」その瞬間に取る行動に絞って説明します。
対象は、海水浴・シュノーケリング・磯遊びなど、泳いだり波打ち際で遊んだりするすべての人です。
必要な道具・装備
溺水を防止するため、ライフジャケットを予め着用しておきましょう。着用する際は、自身の身体に合ったものを選び、損傷箇所が無いかを確認してから正しく着用します。浮き輪などのフロート遊具は、ライフジャケットなどの浮力体に含まれません。ライフジャケットを着けて浮いて待つときの姿勢は、後述の「3. 浮いて待つときの姿勢」で紹介します。
ライフジャケットの種類と選び方はライフジャケットのタイプ区分(A/D/F/G)|浮力基準と構造・形状の見方、子ども用は子ども用ライフジャケットの選び方|体重区分・股ベルト・桜マークの見方で解説しています。
天候や波の状態を理由に活動を中止・撤退する基準は、海のレジャー中の天気急変のサイン・海の警報・注意報の種類と確認方法にまとめています。
実践の手順
流された、あるいは泳いでいて不安を感じたときに、その場で取る行動を順番に説明します。
1. 助けてサインで周りに知らせる
浮いていられる、足がつく状態であれば、片手を左右に大きく振ります。これが「助けてサイン」です。ただし、次の状態では助けてサインを出しません。
- ライフジャケットなどの浮力体を身に着けていない場合で、浮いていることが精一杯のとき: 手を大きく振ると沈んでしまう可能性があります
- 溺れている状態のとき: 助けてサインを行うと、十分な浮力が確保できなくなるため危険です
この2つの状態に当てはまるときは、サインを出そうとせず、楽な姿勢で浮いて救助を待ちます。
2. 陸地に向かうか、浮いて待つかを判断する
自力で陸地に向かえるかどうかで、次に取る行動を判断します。
- 自力で陸地に向かうことが出来る場合は、自身の体力を考慮しつつ、落ち着いて近くの陸地に向かいましょう。離岸流に流されている場合は、海岸と平行に泳いで流れから出てから陸を目指します。無理に泳がず楽な姿勢で浮いて救助を待つことも有効です。
- 自力で陸地に向かうことが困難な場合は、楽な姿勢で浮いて救助を待ちましょう。
3. 浮いて待つときの姿勢
ライフジャケットを着用している場合は、膝を抱え込み、体温の低下を防ぎながら浮く方法があります。波や風の影響で姿勢の保持が難しい場合には、手足を動かして姿勢を保ちます。
ほかの浮き方の例と、それぞれの注意点は、海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」で確認してください。
ここまでの行動をまとめると、次の順番になります。
流された・泳いでいて不安を感じたとき: 「助けてサイン」で周りに知らせる。自力で陸地に向かえるなら落ち着いて近くの陸地へ向かい、離岸流に流されたら海岸と平行に泳いで流れから出る。自力で向かうのが難しければ、楽な姿勢で浮いて救助を待つ。
助けてサインを出してはいけない状態は、上記「1. 助けてサインで周りに知らせる」のとおりです。
場面ごとのポイント
| 場面 | 対応の目安 |
|---|---|
| 流された・不安を感じたとき | 助けてサインを出し、上記の基準のとおり陸へ向かうか浮いて待つかを判断する(出してはいけない状態は次の行) |
| 助けてサインを出してはいけない状態 | 浮力体を身に着けておらず浮くのが精一杯のとき/溺れている状態のとき(楽な姿勢で浮いて救助を待つ) |
| 離岸流に巻き込まれたとき | 海岸と平行に泳いで流れから出る(難しければ無理に泳がず浮いて待つ) |
| ライフジャケットを着用しているとき | 膝を抱え込んで浮く(波や風で姿勢を保てなければ手足を動かす) |
溺れている人を見たとき
自分ではなく、ほかの人が溺れているのを見かけたときの対応(通報先・伝える情報)は、海の水難事故を防ぐ備え|浮力体・海水浴場選びと、溺れた人を見たときの通報先で確認できます。
安全とルール
海上保安庁は、海で遊ぶ際に身に危険が迫ったと感じたときの対処法として、状態に応じた助けてサインの出し方や、沖に流されたときの対処をまとめています。詳しくは海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」で確認してください。離岸流に巻き込まれたときの対処は海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「海で遊ぶときの注意(遊泳)」にも記載があります。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 浮いていられる・足がつく状態か、浮くのが精一杯の状態かを自分で判断できる
- ☐ 助けてサインを出してよい状態と、出してはいけない状態を覚えている
- ☐ 自力で陸地に向かえるか、浮いて待つべきかを判断する基準を知っている
- ☐ 離岸流に流されたら、海岸と平行に泳いで脱出するか、無理に泳がず浮いて待つかを知っている
- ☐ ライフジャケットを着けて浮いて待つときの姿勢と、ほかの浮き方の確認先を知っている
- ☐ ライフジャケットを予め着用した
- ☐ 天候・海況を出発前と活動中に確認した
- ☐ 溺れている人を見たときの対応の確認先を知っている
よくある失敗と対策
- 浮くのが精一杯なのに手を振って助けを呼ぼうとする: 浮力体を身に着けておらず浮いていることが精一杯のときは、手を大きく振ると沈んでしまう可能性があり、溺れている状態で助けてサインを行うと、十分な浮力が確保できなくなるため危険です。この場合は楽な姿勢で浮いて救助を待つ
- 岸に向かって力任せに泳ぎ続ける: 自力で陸地に向かうのが困難な場合は、無理に泳がず楽な姿勢で浮いて救助を待ちます
- 離岸流の中を陸に向かって直進しようとする: 離岸流に巻き込まれたら、海岸と平行に泳いで流れから出ます。無理に泳がず楽な姿勢で浮いて救助を待つことも有効です。離岸流に逆らって泳ぐのは、オリンピック選手のように泳ぎが得意な人でも難しいと言われています
まとめ
海で流された・不安を感じたときに取る行動は、上記「実践の手順」の囲みにまとめた基準と、「1. 助けてサインで周りに知らせる」の出してはいけない状態のとおりです。ライフジャケットを着けて浮いて待つときの姿勢は「3. 浮いて待つときの姿勢」で紹介しました。ほかの浮き方の例は、海上保安庁の「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」で確認してください。
次の一歩: 離岸流そのものの見分け方や巻き込まれない備えは離岸流(リップカレント)とは|突堤・ヘッドランド付近と見分け方、近づかないための備えで確認してください。
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- ライフジャケットのタイプ区分(A/D/F/G)|浮力基準と構造・形状の見方
- 子ども用ライフジャケットの選び方|体重区分・股ベルト・桜マークの見方
出典
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「身に危険が迫ったと感じた時の対処法」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)
- 海上保安庁 ウォーターセーフティガイド「海で遊ぶときの注意(遊泳)」(参照: 2026-09 / 最終確認: 2026-09-26)
