首都直下地震に備える|都市直下型地震の固有リスク(火災・帰宅困難・群集事故・感震ブレーカー)

首都直下地震に備える|都市直下型地震の固有リスク(火災・帰宅困難・群集事故・感震ブレーカー) 防災

はじめに

東京23区のように人や建物が密集した都市では、地震の揺れそのものより、その後の火災・大量の帰宅困難者・群集の将棋倒し(群集事故)が命に関わる固有リスクになります。「自分のまちは大丈夫」「とりあえず歩いて帰ればいい」という思い込み(正常性バイアス)が、かえって危険な行動を招きがちです。

この記事を読み終えるころには、これらの固有リスクを理解し、感震ブレーカーの設置や「むやみに移動しない」判断など、今日から備えられる具体策を選べるようになります。

備えや避難は「空振り」で構いません。逃げること・備えることを恥じず、平常時にルールを決めておくことが、いざというとき家族を守ります。

なぜ重要か(最新データ)

内閣府は2025年12月、首都直下地震(マグニチュード7.3・都心南部直下)の被害想定を約12年ぶりに見直しました。死者は最大で約1万8000人(前回想定の約2万3000人から減少)、うち火災が約1万2000人・建物倒壊が約5300人と、死者の多くを火災が占めます。災害関連死は最大で約1万6000〜4万1000人、経済被害は最大で約83兆円と推計されています(出典: 内閣府 首都直下地震の被害想定)。

帰宅困難者は、この新想定で1都4県あわせて最大約840万人と見込まれています(出典: 内閣府 首都直下地震の被害想定)。東京都も、平日昼間の地震で都内に約453万人が帰宅困難になると想定しています(出典: 東京都防災ホームページ 帰宅困難者対策ハンドブック、令和4年想定)。大勢が一斉に動けば駅や交差点で群集の将棋倒し(集団転倒)が起き、火災や落下物の危険も高まります。だからこそ、揺れがおさまった直後の「動かない」判断が重要です。

本論:都市直下型地震に備える TOP5

1. 「火災が最大の死因」と知って備える

新想定で死者の最多原因とされたのが火災です。木造住宅が密集する地域では、複数の出火が燃え広がる市街地大火の危険があります。出火を防ぐこと(感震ブレーカー、ストーブまわりの整理、家具固定)と、消火器・住宅用火災警報器の点検を習慣にしましょう。

2. 感震ブレーカーで「通電火災」を防ぐ

地震火災の大きな原因が、停電からの復旧時に壊れた配線や倒れた電気機器から発火する「通電火災」です。消防庁の整理では、阪神・淡路大震災の地震火災139件のうち、電気が原因と推定される火災が85件(約6割)を占めました(出典: 消防庁 感震ブレーカーの普及推進)。感震ブレーカーは、地震時に設定以上の揺れを感知して電気を自動で止める機器の総称で、不在時や避難で余裕がないときの電気火災防止に有効です(出典: 内閣府 大規模地震時の電気火災対策)。避難時はブレーカーを落とす習慣も合わせて身につけましょう。

3. むやみに移動しない(職場・学校で3日間待機)

東京都は「むやみに移動を開始しない」を基本原則とし、発災時は職場や学校などで3日間(72時間)とどまる一斉帰宅の抑制を呼びかけています。人命救助のカギとなる発生後72時間の救助・救命活動を、歩いて帰る大勢の人が妨げないためです(出典: 東京都防災ホームページ)。職場・自宅それぞれに、1人1日3リットル×3日分(計9リットル)の水と3日分の食料、簡易トイレを備えましょう。

4. 群集事故(集団転倒)を避ける

人が密集すると、駅や歩道橋、交差点で群集が将棋倒しになる集団転倒や、沿道の建物からの落下物でけがをする危険があります。第一の対策はむやみに移動しないこと。やむを得ず人混みに入るときは、前の人との間隔を保つ・流れに逆らわない・立ち止まりや座り込みを避ける、を意識しましょう。

5. 「離れていても合流できる」連絡と引き渡しの約束

都市部では家族がばらばらの場所で被災し、すぐ会えないのが前提です。安否確認は災害用伝言ダイヤル171・災害用伝言板(web171)・SNSなど複数の手段を決めておきます(出典: 東京都防災ホームページ)。保育園・学校の引き渡しルール(誰が・どこで・いつまで待つか)を確認し、高層マンションではエレベーター停止を前提に、無理に階段で動かず在宅避難できる備えを整えましょう。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 感震ブレーカーを設置(または検討)し、避難時にブレーカーを落とす習慣を決めた
  • ☐ 消火器・住宅用火災警報器を点検し、ストーブまわり・家具を安全にした
  • ☐ 「むやみに移動しない・72時間は待機」を家族と共有した
  • ☐ 職場と自宅の両方に、水9リットル(3L×3日)・食料3日分・簡易トイレを備えた
  • ☐ 安否確認の方法(171・web171・SNS)と集合の約束を決めた
  • ☐ 保育園・学校の引き渡しルールと、職場〜自宅の徒歩経路・危険箇所を確認した

対象別ワンポイント

  • 子育て世帯: 保育園・学校の引き渡し方法と、迎えに行けないときの代理人・待機ルールを事前に確認。子どもには「大人の指示に従い、その場で待つ」と伝えます。ミルク・離乳食・おむつは職場にも少し置くと安心です。
  • 高齢者: 高層階ではエレベーター停止を前提に、無理に階段を使わず在宅避難を基本に。常備薬1週間分とお薬手帳の控え、メガネ・補聴器と予備を備えます。人混みでの転倒は大けがにつながるため、急いで移動しないことを徹底します。
  • 単身者: 帰宅困難でも職場で数日しのげるよう、水・携帯食・歩きやすい靴・モバイルバッテリーを勤務先に。安否を知らせる連絡先を一つ決めておきます。

地域レイヤー補足

この記事は都市直下型地震が想定される地域(首都直下など)に固有のリスクをまとめました。南海トラフ地震(内閣府が2025年3月に被害想定を見直し)の影響が懸念される沿岸部では、津波からの避難計画の優先度が高まります。お住まいの市区町村のハザードマップで延焼危険度・浸水・避難所を確認し、「自分のまち」のレイヤーで具体策を上乗せしてください。

まとめ

都市直下型地震の備えは、(1) 火災が最大の死因と知る、(2) 感震ブレーカーで通電火災を防ぐ、(3) むやみに移動せず72時間待機する、(4) 群集事故を避ける、(5) 連絡と引き渡しの約束を決める、の5つに集約されます。どれも特別な費用をかけずに今日から始められます。まずは一つ、できることから始めましょう。

次のアクション(CTA): 今週中に職場〜自宅の徒歩経路を地図で確認し、感震ブレーカーの設置と3日分備蓄のうち、まず一つに着手しましょう。

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出典

  • 内閣府 首都直下地震の被害想定(令和7年12月19日 報告書公表 / 公表: 2025-12 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/index.html
  • 内閣府 大規模地震時の電気火災対策(感震ブレーカー)(公表: 2024-03 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/denkikasaitaisaku/
  • 消防庁 感震ブレーカーの普及推進に関する資料(公表: 2024-03 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-166/01/shiryou3.pdf
  • 東京都防災ホームページ 帰宅困難者対策ハンドブック(一斉帰宅抑制・むやみに移動しない・令和4年想定)(公表: 2023-03 / 最終確認: 2026-06-17) — https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/bousai/1000031/1001369.html
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