オリーブの受粉樹・結実のコツと病害虫対策|アナアキゾウムシ・炭疽病

オリーブの受粉樹・結実のコツと病害虫対策|アナアキゾウムシ・炭疽病 果樹

はじめに

「花は多いのに実がほとんどつかない」——オリーブでよく聞かれる悩みです。原因の多くは受粉樹不足か病害虫による樹勢低下にあります。

この記事は、オリーブを実らせる受粉樹の組み合わせ方と結実のコツ、オリーブ栽培で最も問題となる害虫アナアキゾウムシと、炭疽病・ハマキムシへの対策が中心です。育て方の基本は「オリーブの育て方の基本」、剪定は「オリーブの仕立て・剪定」も参照してください。

魅力・特徴

オリーブ(Olea europaea)はモクセイ科の常緑高木で、地中海沿岸原産。銀灰色の葉と幹の質感が庭木・シンボルツリーとして人気ですが、花が咲いても実になりにくい果樹でもあり、収穫を安定させるには受粉樹の知識が欠かせません。

育成環境(光・水・温度・用土・鉢)

日当たり・水はけのよい土壌を好み、香川県「オリーブの栽培条件と管理」によると、栽培適地の目安は年間日照2,000時間以上・年間降水量1,000mm程度・年平均気温14〜16℃です。植栽間隔を十分に取り、剪定で日当たり・風通しを良くすることは病害虫の抑制にもつながります。具体的な管理は「オリーブの育て方の基本」を参照してください。

季節管理(春夏秋冬)

作業適期は一般的な目安。地域・環境・品種で前後します。

季節 置き場所・気候の目安 水やり・施肥 主な作業
春 日当たり重視 芽が動く前の3月中旬に施肥 受粉樹の配置確認
夏 十分な日照 乾燥注意。開花後の6月下旬に施肥 アナアキゾウムシ・ハマキムシの見回り
秋 日当たり重視 休眠前の10月下旬に施肥 炭疽病が多い年は早めの収穫
冬 1月の低温は着花に影響 施肥なし 炭疽病の休眠期防除

受粉樹と結実のコツ

オリーブは自家不和合性が強く、同じ品種の花粉だけでは結実しづらい性質を持ちます。香川県の栽培指針のとおり、異なる品種を1〜2割の割合で混植し、受粉樹を確保することが結実の第一歩です。香川県「オリーブの品種・生態」によると、咲いた花のほとんどは実にならず脱落するのが自然で、総花数に対して収穫できる実は3%程度にとどまります。「花は多いのに実が少ない」のはオリーブでは珍しくなく、受粉樹の有無が結実率を大きく左右します。

品種の組み合わせ方

品種ごとに自家不和合性の強さや花粉量は異なります。小豆島町「小豆島で栽培されるオリーブの主要品種」によると、マンザニロは自家不和合性が強く、ルッカは自家不和合性が比較的弱く1本でもある程度着果します。ネバディロ・ブランコは自家不和合性が強く不完全花も多い一方、花粉量が非常に多く受粉樹として高い価値を持ちます。結実させたい品種には、花粉量の多い品種を受粉樹として組み合わせるのが基本です。品種選びは「オリーブの植え付け・鉢/シンボルツリー」も参考にしてください。

結実を良くするポイント

香川県「オリーブの栽培条件と管理」によると、開花は5月中旬〜6月上旬ごろですが、品種によって開花時期が異なります。オリーブは花粉を風で飛ばす風媒花なので、受粉樹は開花時期が重なるかを確かめて選びます。肥料は、同じ栽培指針では芽が動き始める前の3月中旬・開花後の6月下旬・休眠に入る前の10月下旬に施します。日当たり・風通しを保つ剪定は病害虫による樹勢低下を防ぐ意味でも重要です(RHS “How to grow Olives”も、早春の剪定で枯れ枝や病気の枝を取り除くよう勧めています)。剪定方法は「オリーブの仕立て・剪定」を参照してください。

トラブルと対策

オリーブアナアキゾウムシ

香川県の栽培指針が、オリーブを加害する害虫のうち最も問題となるとしている害虫です。成虫は体長15mm・体幅6mm程度の黒褐色で、3月下旬〜10月下旬まで活動を続けます。日本応用動物昆虫学会誌「オリーブアナアキゾウムシ(コウチュウ目:ゾウムシ科)の人工飼料を用いた室内累代飼育および発育特性」(AgriKnowledge)によると、日本在来種で、オリーブが導入される前はネズミモチ・イボタノキなど在来のモクセイ科樹木を寄主としていたと考えられています。幼虫が樹皮下を食害するため、幼虫の密度が高いと枯死することがあります。

香川県によると、対策はスミチオン乳剤・ダントツ水溶剤・アディオン水和剤などの登録薬剤を、登録内容に従って使用するのが基本です。あわせて株元の雑草を減らす清耕栽培や、幼虫・成虫の捕殺も効果があります。

オリーブ炭疽病

果実に褐色の病斑が現れて腐敗が広がる炭疽病は、香川県によると、休眠期にICボルドー66Dを、生育期は梅雨・秋雨期を重点にペンコゼブ水和剤やアミスター10フロアブルを散布して防除します。剪定で日当たり・風通しを保つことが予防になり、発生の多い年は早めの収穫も有効です。農研機構ジーンバンク 日本植物病名データベース「オリーブ炭疽病」によると、病原菌は Colletotrichum acutatum と C. gloeosporioides(異名 Gloeosporium olivarum)の2種です。

ハマキムシ類

新芽や葉を糸で巻いて食害するハマキムシ類も見られます。被害葉は見つけ次第取り除き、樹冠内が蒸れないよう剪定で風通しを確保することが基本の予防策になります。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 花粉量の多い別品種を受粉樹として混植した
  • ☐ 受粉樹の開花期が近いか確認した
  • ☐ 剪定で樹冠内の日当たり・風通しを確保している
  • ☐ 3〜10月はアナアキゾウムシの見回り・捕殺を続けている
  • ☐ 薬剤は登録内容(作物・時期・回数)を確認している
  • ☐ 休眠期・梅雨秋雨期に炭疽病の防除を計画した
  • ☐ ハマキムシの被害葉を早期に除去している

まとめ

オリーブを実らせる鍵は、(1) 花粉量の多い品種を受粉樹として混植すること、(2) 剪定で日当たり・風通しを保ち病害虫を予防すること、(3) アナアキゾウムシ・炭疽病・ハマキムシを季節ごとに見回り防除することの3つです。まずは今ある株の品種を確認し、受粉樹の有無から見直してみましょう。

次の一歩: 基本の育成環境は「オリーブの育て方の基本」、樹形づくりは「オリーブの仕立て・剪定」、収穫や増やし方は「オリーブの収穫・新漬け/オイルとふやし方」もあわせてご覧ください。

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出典

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