はじめに
収穫が終わったいちごの株から細長い茎が伸びてくると、「これを苗にできる? どの子株を使えばいい?」と迷います。この記事では、ランナー(ほふく茎)から子苗をとる手順を、使う子株の選び方、根付かせ方、親株からの切り離し、秋の植え付けまでの育て方まで順に書きます。必要なものは、培養土を入れた育苗ポット、U字ピン、ハサミです。 栄養繁殖そのものの考え方は「植物のふやし方|実生・挿し木・株分け・茎伏せ・取り木の使い分けと基本」にまとめてあるので、ここではいちごのランナーの扱いに絞ります。
いちごのランナーと子苗の基本
全農の情報誌Apronによると、収穫が終わる6月頃から、ランナー(ほふく茎)を根付かせて子株を作り、翌シーズンの苗にします。 ただし、どの子株でも使うわけではなく、親株と子株を選びます。
栽培カレンダー(子苗とり〜秋の植え付け)
下の月は、どれも一般的な目安です。地域・品種・栽培環境で前後します。出典ごとに書かれた月をそのまま並べているので、近くのJAや自治体の情報も見て、自分の地域の時期を決めてください。
| 出典 | 作業 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 全農の情報誌Apron | ランナーを根付かせて子株を作る | 収穫が終わる6月頃から |
| ハイポネックス | ランナーの先に葉や根が出てきたら、子株の下にポットを置く | 6月頃から伸びるランナー |
| JAあいち三河(畝での手順) | 2mの幅の畝をつくり、母株を株間60cmにして植え替える | 5月下旬ころ |
| JAあいち三河(上と同じ手順) | 子株を苗床へ植え替える | 8月下旬~9月上旬 |
| JA西春日井 | 切り離した苗をポリポットのまま管理する | 植えつけ適期の10月中旬まで |
| JA西春日井(愛知県・露地栽培) | 植えつける | 10月中旬~11月中旬 |
ハイポネックスは、暑い地域では気温が高い時期に苗を採ったり、植えつけを急いだりすると苗が弱ることがあるため、地域の栽培時期に合わせて作業するよう案内しています。 寒冷地・暖地の別の月の記載は、この表の出典にはありません。お住まいの地域のJAや自治体の情報も見て決めてください。
育て方の手順
1. 親株を選ぶ
JA西春日井は、収穫の終わった病害虫にかかっていない親株から苗を採取するとしています。
JA西春日井は、収穫が始まる前に伸びてくるランナーは早めに除去するとしています。
2. 使う子株を選ぶ
全農の情報誌Apronは、親株から1番目と先端の方の子株は使わず、2番目や3番目の大きさのそろった子株を次の苗として、畑に仮植えしておくか、育苗ポットに植えて育てるとしています。 ハイポネックスも、親株にもっとも近い一番目の子株(太郎苗)は、親株から病害が持ち込まれる可能性などを考慮し、二番目や三番目のよく育った子株を苗に利用することがポイントだとしています。
採る子苗の見分け方として、ハイポネックスは、苗を採るときは、本葉が3枚~5枚あり、クラウンが太く、白い根がよく伸びている子苗を選ぶとしています。
3. ポットに根付かせる
ハイポネックスは、6月頃から伸びるランナーの先に葉や根が出てきたら、子株の下に培養土を入れたポットを置き、U字ピンなどで軽く押さえるとしています。 JA西春日井は、土を入れたポリポットを用意し、その真ん中に親株から伸びてきた子株を置き、ランナーをUピンなどで押さえておくと10~15日ほどで活着するとしています。
根付くまでの間も、ハイポネックスは、根が十分に張り、新しい葉が伸び始めるまでは、親株とランナーをつないだまま、土を乾かないように育てるよう案内しています。
4. 親株から切り離す
ハイポネックスは、しっかり根づいたことを確認してから、ランナーを切り離すとしています。 JA西春日井は、子株にランナーを3cmほど残して、ハサミで親株から切り離すと、翌年の苗が完成するとしています。 同じページには、根付いたら、つるを5~6cm残して切り離し、植えつけ時期まで管理するという記載もあります。 残す長さは出典の中でも3cmほど・5~6cmの2通りなので、どちらか一方に決めずに、近くのJAなどの案内も見てください。
秋に植えるときの株の向きは、「いちごのプランター栽培|苗の選び方、植え付けの深さと向き、冬越しから春の追肥まで」で確かめてください。
5. 秋の植え付けまで育てる(ポットのまま管理、または仮植え)
切り離した後の育て方は、出典で少し分かれます。JA西春日井は、切り離した苗をポリポットのまま、植えつけ適期の10月中旬まで管理しましょうとしています。 一方、JAあいち三河は、2mの幅の畝をつくり、5月下旬ころに母株を株間60cmにして植え替えるとし、8月下旬~9月上旬に子株を苗床へ植え替えるとしています。 これは畝で母株を育てて子株をとる手順なので、ポットで受ける方法とは前提が異なり、株間60cmをプランターや鉢の間隔と取り違えないようにします。苗床へ植え替えた子株には、じゅうぶんに水をやり、根づくまで日よけをしておきます。 JAあいち三河は、根づいた子株は新しい葉を2~3枚残してあとの葉はかき取るとしています。
ポットのまま管理する方法のほかに、ハイポネックスは、親株から切り離した子苗を秋の植えつけまで育てる場合は、株同士が混み合わないよう間隔を空けて仮植えするとしています。仮植えする場所は、この出典には書かれていません。
植え付けと冬越しは、「いちごのプランター栽培|苗の選び方、植え付けの深さと向き、冬越しから春の追肥まで」で確かめてください。
病害虫の予防と対策
ハイポネックスは、葉やランナーに病斑がある親株からは苗を採らないようにしましょうとしています。 薬剤を使うときは、必ず商品のラベルや説明書の表示に従ってください。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 収穫の終わった、病害虫にかかっていない親株を選んだ
- ☐ 二番目や三番目のよく育った子株を使うことにした
- ☐ 根づくまで親株とつないだまま、土を乾かさないようにした
- ☐ 苗を採るときに、本葉が3枚~5枚、クラウンが太く、白い根が伸びていることを確かめた
- ☐ 根づいたことを確かめてから、ランナーを3cmほど(または5~6cm)残して、ハサミで切り離した
- ☐ 切り離した後の苗は、ポットのまま管理するか、間隔を空けて仮植えし、植え付けの時期を近くのJAや自治体の情報でも確かめた
よくある失敗と対策
- 根づく前に切り離してしまう: 根が十分に張り、新しい葉が伸び始めるまでは、親株とランナーをつないだまま育てます。 しっかり根づいたことを確認してから切り離します。
- 親株に近い一番目の子株を使う: 病害が持ち込まれる可能性などを考慮し、二番目や三番目のよく育った子株を使います。
- 苗床へ植え替えた後に乾かす・日に当てすぎる: JAあいち三河の手順で子株を苗床へ植え替えたときは、じゅうぶんに水をやり、根づくまで日よけをしておきます。 ポットで受ける場合は、根が十分に張り、新しい葉が伸び始めるまで土を乾かないように育てます。
まとめ
ランナーから子苗をとる手順は、(1) 病害虫にかかっていない親株を選ぶ、(2) 二番目や三番目のよく育った子株を使う、(3) 根づいたことを確かめてから切り離し、ポットのまま管理するか、間隔を空けて仮植えして秋の植え付けまで育てる、の3点で見通しが立ちます。時期は出典によって月が違うので、近くのJAや自治体の情報も見て決めましょう。
次の一歩: 育てた子苗の植え付けと冬越しは「いちごのプランター栽培|苗の選び方、植え付けの深さと向き、冬越しから春の追肥まで」で確かめましょう。
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出典
- イチゴ – 野菜の育て方 | 全農の情報誌Apron(エプロン)(参照: 2026-10 / 最終確認: 2026-10-17)
- 家庭菜園:イチゴ | JA西春日井(参照: 2026-10 / 最終確認: 2026-10-17)
- イチゴ|家庭菜園|JAあいち三河(参照: 2026-10 / 最終確認: 2026-10-17)
- イチゴの育て方|花芽分化・土づくり・ランナーでの苗づくりまで解説(参照: 2026-10 / 最終確認: 2026-10-17)
