はじめに
「花は多いのに実がほとんどつかない」——オリーブでよく聞かれる悩みです。原因の多くは受粉樹不足か病害虫による樹勢低下にあります。
この記事は、オリーブを実らせる受粉樹の組み合わせ方と結実のコツ、栽培最大の障壁ともいわれるアナアキゾウムシ・炭疽病・ハマキムシへの対策が中心です。育て方の基本は「オリーブの育て方の基本」、剪定は「オリーブの仕立て・剪定」も参照してください。
魅力・特徴
オリーブ(*Olea europaea*)はモクセイ科の常緑高木で、地中海沿岸原産。銀灰色の葉と幹の質感が庭木・シンボルツリーとして人気ですが、花が咲いても実になりにくい果樹でもあり、収穫を安定させるには受粉樹の知識が欠かせません。
育成環境(光・水・温度・用土・鉢)
日当たり・水はけのよい土壌を好み、栽培適地の目安は年間日照2,000時間以上・年間降水量1,000mm程度・年平均気温14〜16℃です。植栽間隔を十分に取り、剪定で日当たり・風通しを良くすることは病害虫の抑制にもつながります。具体的な管理は「オリーブの育て方の基本」を参照してください。
季節管理(春夏秋冬)
作業適期は一般的な目安。地域・環境・品種で前後します。
| 季節 | 置き場所・気候の目安 | 水やり・施肥 | 主な作業 |
|---|---|---|---|
| 春 | 日当たり重視 | 施肥再開 | 受粉樹の配置確認 |
| 夏 | 十分な日照 | 乾燥注意 | アナアキゾウムシ・ハマキムシの見回り |
| 秋 | 日当たり重視 | 施肥控えめ | 炭疽病が多い年は早めの収穫 |
| 冬 | 1月の低温は着花に影響 | 施肥なし | 炭疽病の休眠期防除 |
受粉樹と結実のコツ
オリーブは自家不和合性が強く、同じ品種の花粉だけでは結実しづらい性質を持ちます。異なる品種を1〜2割の割合で混植し、受粉樹を確保することが結実の第一歩です。咲いた花のほとんどは実にならず脱落するのが自然で、総花数に対して収穫できる実は3%程度にとどまります。「花は多いのに実が少ない」のはオリーブでは珍しくなく、受粉樹の有無が結実率を大きく左右します。
品種の組み合わせ方
品種ごとに自家不和合性の強さや花粉量は異なります。マンザニロは自家不和合性が強く他家花粉が必須、ルッカは自家不和合性が比較的弱く1本でもある程度着果します。ネバディロ・ブランコは自家不和合性が強く不完全花も多い一方、花粉量が非常に多く受粉樹として高い価値を持ちます。結実させたい品種には、花粉量の多い品種を受粉樹として組み合わせるのが基本です。品種選びは「オリーブの植え付け・鉢/シンボルツリー」も参考にしてください。
結実を良くするポイント
受粉樹を確保したうえで、開花期の近い品種同士を組み合わせ、生育期の施肥を続けることが結実率を高めます。日当たり・風通しを保つ剪定は病害虫による樹勢低下を防ぐ意味でも重要です。剪定方法は「オリーブの仕立て・剪定」を参照してください。
トラブルと対策
オリーブアナアキゾウムシ
オリーブ栽培最大の障壁とされる害虫です。成虫は体長15mm・体幅6mm程度の黒褐色で、3月下旬〜10月下旬まで活動を続けます。もともとオリーブと同じモクセイ科の野生植物(ネズミモチ・イボタノキなど)を寄主としていた日本在来種で、地中海沿岸など世界の主要産地には見られない日本特有の脅威です。放置すると成木でも数年で枯死することがあります。
対策はスミチオン乳剤・ダントツ水溶剤・アディオン水和剤などの登録薬剤を、登録内容に従って使用するのが基本です。あわせて株元の雑草を減らす清耕栽培や、幼虫・成虫の捕殺も効果があります。
オリーブ炭疽病
実や葉が黒く傷む炭疽病は、休眠期にICボルドー66Dを、生育期は梅雨・秋雨期を重点にペンコゼブ水和剤やアミスター10フロアブルを散布して防除します。剪定で日当たり・風通しを保つことが予防になり、発生の多い年は早めの収穫も有効です。病原菌は *Colletotrichum acutatum* と *C. gloeosporioides*(異名 *Gloeosporium olivarum*)の2種です。
ハマキムシ類
新芽や葉を糸で巻いて食害するハマキムシ類も見られます。被害葉は見つけ次第取り除き、樹冠内が蒸れないよう剪定で風通しを確保することが基本の予防策になります。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 花粉量の多い別品種を受粉樹として混植した
- ☐ 受粉樹の開花期が近いか確認した
- ☐ 剪定で樹冠内の日当たり・風通しを確保している
- ☐ 3〜10月はアナアキゾウムシの見回り・捕殺を続けている
- ☐ 薬剤は登録内容(作物・時期・回数)を確認している
- ☐ 休眠期・梅雨秋雨期に炭疽病の防除を計画した
- ☐ ハマキムシの被害葉を早期に除去している
まとめ
オリーブを実らせる鍵は、(1) 花粉量の多い品種を受粉樹として混植すること、(2) 剪定で日当たり・風通しを保ち病害虫を予防すること、(3) アナアキゾウムシ・炭疽病・ハマキムシを季節ごとに見回り防除することの3つです。まずは今ある株の品種を確認し、受粉樹の有無から見直してみましょう。
次の一歩: 基本の育成環境は「オリーブの育て方の基本」、樹形づくりは「オリーブの仕立て・剪定」、収穫や増やし方は「オリーブの収穫・新漬け/オイルとふやし方」もあわせてご覧ください。
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- オリーブの仕立て・剪定(開心自然形・樹形づくり)
- オリーブの収穫・新漬け/オイルとふやし方(挿し木)
- 家庭菜園の病害虫対策|予防と初期対応の基本
出典
- 香川県「オリーブの栽培条件と管理」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- 香川県「オリーブの品種・生態」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- 小豆島町「小豆島で栽培されるオリーブの主要品種」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- 香川大学博物館「日本で栽培されるオリーブの宿敵・オリーブアナアキゾウムシ」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- 農研機構ジーンバンク 日本植物病名データベース「オリーブ炭疽病」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- RHS “How to grow Olives”(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)

