はじめに
「使い終わったプランターの土、もう一度使いたいけれど、何をどれくらい足せばいいの?」——古い土の再生でつまずきやすいのが、酸性に傾いたpHの調整・減った有機物の補充・市販の再生材の使い方という「量の目安」です。この記事では、苦土石灰(pH調整)・完熟堆肥や腐葉土(有機物補充)・市販の再生材の3つを、公的機関や資材メーカーの案内をもとにまとめます。菌や微生物の働き、植物ごとの使い分けは姉妹記事で扱います。
この資材の基本(種類・成分・特徴)
古い土の再生資材は3つに分かれます。①石灰質資材(苦土石灰など)=pHを矯正、②堆肥・腐葉土=有機物を補い団粒構造や保肥力を回復、③市販の再生材=両方をあらかじめ配合した資材、です。農水省「地力増進基本指針」は普通畑の目標pHを6.0以上6.5以下(石灰質土壌は6.0以上8.0以下)とし、たい肥は十分に発酵・熟成させた「完熟」を用いることを病原微生物汚染防止の観点から求めています。
資材の使い方と量の目安
1. 苦土石灰でpHを整える
農水省の土壌診断技術資料(アレニウス表)では、壌土でpH5.0の土をpH6.5まで矯正するのに炭酸カルシウム換算で379kg/10a相当が必要とされ、消石灰を使う場合はこの量に0.75を乗じます。家庭菜園ではこの数値より資材メーカーの目安量が実用的です。花ごころの案内では、施用量は畑・庭土で1m²あたり200g、鉢植え用土は1Lあたり2g(65cm標準プランター約12Lなら24g)で、深さ20〜30cmまで混ぜて2週間なじませてから植え付けます。JA西春日井の案内では1m²あたり0.5〜1kgを目標pH6.0〜6.5のめやすに、植え付けの2週間前までに混ぜます(メーカーで幅があるため商品表示も確認)。肥料成分の多い堆肥とは同時に混ぜず、先に苦土石灰をまいて2週間なじませてから混ぜ込みます。施用後は7〜10日して再度pHを測定します。
2. 完熟堆肥・腐葉土を補う
古い土は使ううちに有機物が減り、団粒構造が崩れて水はけ・保肥力が落ちます。ここを補うのが堆肥・腐葉土です。JA西春日井の案内では1m²あたり堆肥2〜3kgが目安で、苦土石灰と同様に植え付けの2週間前までに混ぜます。堆肥は「完熟(十分に腐熟した)」ものを選ぶことが重要です。農研機構の技術マニュアルによれば、堆肥化の過程では微生物の活動で品温が60℃程度まで上昇し病原菌や雑草種子を死滅させる効果があるとされ、十分な温度上昇が確認された堆肥を使うことが必要とされています。未熟な堆肥は加熱過程が不十分な可能性があるため、生鮮野菜の用土にはとくに完熟のものを選びます。
3. 市販の再生材を使う
配合を自分で計算するのが手間なら、市販の「古い土の再生材」も使えます。プロトリーフの製品案内では、消毒した古い土8割に再生材2割を混ぜ合わせるのが基本の使い方で、混ぜた直後から植え付け可能です。比率は製品ごとに異なるため商品表示に従います。
| 資材 | 目安量 | タイミング | |—|—|—| | 苦土石灰 | 畑200g/m²前後・鉢2g/L前後(0.5〜1kg/m²の案内もあり) | 深さ20〜30cmに混和し2週間なじませる | | 完熟堆肥・腐葉土 | 2〜3kg/m² | 苦土石灰と同時は避け2週間前までに | | 市販の再生材 | 古い土8:再生材2(製品表示に従う) | 混ぜた直後から植え付け可 |
選び方・使い分け
pHが酸性に傾くだけなら苦土石灰、パサつく・固まるなら堆肥・腐葉土、手間をかけず整えたいなら市販の再生材が目安です。菌根菌・微生物は菌根菌・微生物・堆肥の活用、植物ごとの配合は再生土の栽培別の使い分け・注意点、劣化サインは古い土の問題(連作障害・団粒崩壊・病原)、手順は用土の再生手順(ふるい・消毒・熱/寒処理)へ。
よくある失敗と対策
- 苦土石灰と堆肥を同時に混ぜる: 同時施用は避け、苦土石灰を先に混ぜて2週間なじませてから加えます。
- 量を測らず目分量で入れる: 施用量は資材・土性・目標pHで変わるため、表示や目安を基準にし施用後7〜10日でpHを再確認します。
- 未熟な堆肥をそのまま使う: 発酵・熟成が不十分だと病原菌が残る可能性があるため、完熟堆肥を選びます。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 古い土のpHを測定し、目標pH6.0〜6.5からのずれを確認した
- ☐ 苦土石灰の施用量を面積・容量から計算した(畑200g/m²前後、鉢2g/L前後が目安)
- ☐ 苦土石灰は堆肥と同時に混ぜず、先に施用して2週間なじませた
- ☐ 完熟堆肥・腐葉土を2〜3kg/m²目安に補った
- ☐ 市販の再生材は商品表示の配合比率(古い土8:再生材2が目安)に従った
- ☐ 施用・耕起から7〜10日後にpHを再測定した
まとめ
古い土の再生は、①苦土石灰でpHを6.0〜6.5前後に整える、②完熟堆肥・腐葉土で有機物を補う、③手間を省きたいときは市販の再生材を使う、の3つを状態に応じて組み合わせるのが基本です。まずは今の土のpHを確認するところから始めましょう。
次の一歩: 用土の再生手順(ふるい・消毒・熱/寒処理) を読んで、ふるい分け・消毒とあわせた再生の全体の流れを確認しましょう。
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出典
- 農林水産省「土壌改良資材量のもとめ方」(土壌診断と対策)(参照: 掲載年不明 / 最終確認: 2026-07-09)
- 農林水産省「地力増進基本指針」(参照: 2008-10 / 最終確認: 2026-07-09)
- 農研機構「混合堆肥複合肥料の製造とその利用」技術マニュアル(参照: 掲載年不明 / 最終確認: 2026-07-09)
- 花ごころ「Let’s苦土石灰の使い方」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- JA西春日井「畑の土作りの方法を教えてください。」(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)
- プロトリーフ「古い土の再生材」製品ページ(参照: 2026-07 / 最終確認: 2026-07-09)

