クマに出会ってしまったときの行動|距離別の対応とクマ撃退スプレーの携行・使用の注意

クマに出会ってしまったときの行動|距離別の対応とクマ撃退スプレーの携行・使用の注意 安全・気象・登山届

はじめに

距離・状況別の行動と、クマ撃退スプレーの携行・使い方の注意をまとめます。出会わないための備えは「クマに出会わないための備え」へ。

基準: 出発前に行き先の都道府県のクマ出没情報を確かめ、山でクマの糞や足跡などの痕跡を見つけたら、その先には行かず引き返す

クマに出会ってしまったときの行動の全体像

行動の一例です(環境省「クマと共存するために」。最後の行は推奨要件の記載)。

場面 読者の行動
離れていて、クマがこちらに気付いていない ゆっくりと静かに立ち去る
距離が比較的近い(50m 程度) 両腕をふり存在を知らせ、目を離さずにゆっくりと静かに後退する
距離が近い(20m 程度) 刺激せず、走ったり大声を出したりせず、目を離さずにゆっくりと静かに後退する
威嚇突進(クマは途中で止まり後退することが多い) 落ち着いて、クマとの間に障害物がくるようにゆっくりと後退する
本当の攻撃 スプレーを目や鼻をめがけて噴射する。スプレーがない場合は防御姿勢をとる
クマがスプレーの有効な噴射距離内に入った(推奨要件の記載) 威嚇か実際の攻撃かを判別しようとせず、迷わず噴射できるよう準備しておく

装備リスト

必携装備

  • クマ撃退スプレー(選び方・使い方は下記)
  • クマ鈴・携帯ラジオなど音の出るもの(「クマに出会わないための備え」を参照)
  • スマートフォン

季節・ルートで追加する装備

距離・状況別の行動

距離が離れている場合・比較的近い場合(50m 程度)

環境省「クマと共存するために」によれば、距離が離れていてクマがこちらに気付いていない場合は、ゆっくりと静かに立ち去ります。マニュアル第3章は、気が付いていないようであれば存在を知らせるため、物音を立てるなど様子を見ながら立ち去るとしています。50m 程度なら、両腕をふり存在を知らせ、目を離さずにゆっくりと静かに後退します。

距離が近い場合(20m 程度)

クマがパニックになり突発的な攻撃をする可能性があるため、刺激しないことが大切です。走ったり大声を出したりせず、目を離さずにゆっくりと静かに後退します。

クマが突進してきたら

環境省「クマと共存するために」によれば、威嚇突進の場合、クマは途中で止まり後退することが多いとされています。落ち着いて、クマとの間に障害物がくるようにゆっくりと後退します。本当の攻撃なら、クマ撃退スプレーを目や鼻をめがけて噴射し、スプレーがない場合は防御姿勢をとります。マニュアル第3章は、顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつ伏せになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要としています。

一方、推奨要件は、本当の攻撃と威嚇の突進の判断は専門家でも難しいとし、クマが有効な噴射距離内に進入した場合には判別しようとせず、迷わず噴射できるよう準備しておく必要があるとしています。

子グマを見たとき

環境省「クマ類出没対応マニュアル」第3章によれば、親子連れのクマと遭遇した場合、母グマは子グマを守ろうと攻撃的行動をとることが多いため、より一層注意が必要です。子グマが単独でいる場合でも、すぐ近くに母グマがいる可能性が高いため、近づかず、速やかにその場から離れます。

クマ撃退スプレーの携行と使い方の注意

選ぶときの目安(推奨要件)

環境省「クマ撃退スプレーの性能に係る推奨要件」は、7.5m程度以上の噴射距離と、6秒程度以上の連続噴射を求めています。推奨要件は、噴射距離を常温かつ無風の条件で測って表示するよう求めています。

携行するときの注意

消費者庁「クマ撃退スプレーの備え方」は、必要なとき以外は持ち歩かず、人の多い場所では取り出さないとしています。山ではすぐ噴射できるよう身に着け、安全装置は必要なとき以外は外さず、外した後はつけ直します。航空機には持ち込めません。

使うときの注意

消費者庁によれば、スプレーの噴射距離を考慮しながら、5~10m程度クマとの距離を置いて噴射し、原則としてクマよりも風上から使い、風下では極力使わず、クマの顔面(目・鼻)を狙います。冬の低温時はガス圧が低下し、噴射距離が短くなります。マニュアル第3章は、刺激性物質の効果は人も同じで風向きによっては噴射した本人へも影響があるとしたうえで、それでもクマからの攻撃を回避するためには躊躇せずスプレーを噴射することが重要としています。マニュアル第3章によれば、射程距離が5m程度と短い製品が多く、十分クマを引き付けてから噴射する必要があります。環境省は、とどまっているクマに接近して噴射する行為と、忌避目的の事前噴射を推奨していません。

リスクと備え

けがをした、あるいは体調不良になったときは、無理をせず活動をやめてください。救助要請の手順は「山での事故・遭難時の救助要請」へ。

地図・登山届

警察庁の概況によれば、登山計画書・登山届を家族や職場等と共有しておくと、万一の場合の捜索救助の手掛かりになります。提出先は、静岡県警察の場合、警察のほか、登山口の登山ポストや登山アプリのオンライン登山届等です(静岡県警察 登山計画書について)。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 冒頭の基準を守ると決めている
  • ☐ スプレーは噴射距離7.5m程度以上・6秒程度以上の連続噴射の推奨要件で選んでいる
  • ☐ スプレーは噴射距離を考慮して5~10m程度の距離で、原則として風上から使うと確かめている
  • ☐ クマが近くにいても走ったり大声を出したりせず、目を離さずにゆっくり後退すると決めている
  • ☐ けがや体調不良のときの救助要請の手順を確認している

よくある失敗と対策

  • クマが近くにいるのに走って逃げてしまう: 走ったり大声を出したりせず、目を離さずにゆっくりと静かに後退します
  • 子グマに近づく・写真を撮ろうとする: 近くに母グマがいる可能性が高いので、近づかず速やかに離れます
  • スプレーの使い方を確かめていない: 噴射距離を考慮して5~10m程度の距離で、原則として風上から(風下では極力使わず)噴射すると出発前に確かめます

まとめ

行動は上の表のとおり。スプレーは推奨要件で選び、噴射距離を考慮して5~10m程度の距離で、原則として風上から噴射します。

次の一歩: 「クマに出会わないための備え」も確認しておきましょう。

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出典

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