はじめに
「うちの地域はそんなに災害が多くないから」——そう思っていませんか。けれど地震や台風・大雨は、全国どこでも起こりうる災害です。「何から手をつければいいかわからない」という方のために、この記事では全国共通の「基本の備え」を、知る→決める→備える→動けるの順でまとめました。
読み終えるころには、(1) なぜ備えが必要か、(2) 飲料水・食料・家具固定・持ち出し袋・連絡手段という基本の5つ、(3) 自分のまちのリスクの調べ方——この3点を、今日から1つずつ始められるようになります。一度に完璧をめざす必要はありません。できることから始めましょう。
避難や備えは「空振り」で構いません。警報や注意の段階で動いて何も起きなくても、それは正解です。逃げることを恥じず、平常時にルール化しておくことが、自分と家族の命を守ります。
なぜ重要か(最新データ)
地震調査研究推進本部(政府の地震調査委員会)が公表した「全国地震動予測地図2020年版」(公表: 2021年3月、評価基準日2020年1月1日)は、今後30年間に各地点が一定の強さ以上の揺れに見舞われる確率を、日本全国について示した確率論的な予測地図です。この地図が伝えているのは、特定の地域だけでなく、国内のどこであっても強い揺れに見舞われる可能性があるということです(出典: 地震調査研究推進本部)。
地震だけではありません。台風・集中豪雨による洪水や土砂災害も、毎年のように各地で起きています。だからこそ「自分の地域は大丈夫」と決めつけず、全国共通の基本を押さえたうえで、お住まいの地域のリスクを上乗せして備えることが大切です。
ここで大切なのは、数字や地図に圧倒されて立ちすくむことではありません。基本の備えを先にそろえておけば、災害が起きても落ち着いて行動できます。次の章から、その「基本の5つ」を具体的に見ていきます。
本論:全国共通の基本の備え TOP5
1. 飲料水・食料を備える(最低3日〜できれば1週間、ローリングストック)
内閣府は、飲料水は1人1日約3リットルを目安に、最低3日分の備蓄を推奨しています。大規模災害で支援が届きにくい状況も想定し、できれば1週間分以上あると安心です。食料はレトルト・缶詰・乾麺など日持ちするものを中心に。普段から少し多めに買い、使った分を買い足していく「ローリングストック」にすると、賞味期限切れの無駄もなく無理なく続けられます(出典: 内閣府)。
2. 家具を固定する(在宅避難の前提)
過去の地震では、けがの多くが家具の転倒・落下・移動によるものでした。タンスや本棚はL型金具やポール式器具で固定し、扉が開かないようストッパーを付け、ガラスには飛散防止フィルムを貼ります。寝室や出入口の近くに倒れそうな家具を置かないことも重要です。家の中の安全を確保しておくことが、その後の「在宅避難(自宅で過ごす避難)」の前提になります(出典: 内閣府)。
3. 持ち出し袋を用意する
避難が必要になったとき、すぐ持ち出せる非常持ち出し袋を玄関や寝室の近くに置いておきます。中身は飲料水・非常食・常備薬・お薬手帳の写し・モバイルバッテリー・懐中電灯・携帯ラジオ・現金・身分証の写し・簡易トイレなどが基本です。重すぎると逃げ遅れるため、まずは無理なく背負える量に。季節や家族構成に合わせて中身を見直しましょう。
4. 安否確認の手段を決めておく(災害用伝言ダイヤル171など)
災害時は電話がつながりにくくなります。家族と連絡を取り合う方法を平常時に決めておくことが大切です。総務省の災害用伝言ダイヤル「171」は、電話番号宛てに安否のメッセージを音声で録音・再生できる仕組みで、スマホやパソコンから使える災害用伝言板「web171」もあります。これらは毎月1日や防災週間(8月30日〜9月5日)などに体験利用ができるので、いざというときに迷わないよう一度試しておきましょう(出典: 総務省)。
5. 自宅のハザードマップを確認する
洪水・土砂災害・津波などのリスクは、住む場所によって大きく異なります。国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、住所から自宅周辺の災害リスク(重ねるハザードマップ)や、市区町村が作ったハザードマップ(わがまちハザードマップ)を確認できます。自宅の浸水想定と、最寄りの避難場所・避難経路を、家族で一度確認しておきましょう(出典: 国土交通省・国土地理院)。
チェックリスト(保存・印刷可)
- ☐ 飲料水(1人1日約3L)と食料を最低3日分、できれば1週間分、ローリングストックで備えた
- ☐ タンス・本棚など倒れそうな家具を固定した
- ☐ 非常持ち出し袋を用意し、玄関や寝室の近くに置いた
- ☐ 家族の安否確認方法(災害用伝言ダイヤル171・web171など)を決め、体験利用してみた
- ☐ ハザードマップで自宅周辺のリスクと最寄りの避難場所・経路を確認した
対象別ワンポイント
- 子育て世帯: ミルク・離乳食・おむつ・おしりふきは、ふだんの消費に上乗せして多めに備えます。子どもと一緒に避難経路を歩いて確かめ、保育園・学校の引き渡しルールも事前に確認を。抱っこひもや子ども用の靴は持ち出しやすい場所に。
- 高齢者: 避難に時間がかかるため、注意の段階で早めに動くことが命を守ります。常備薬とお薬手帳の写し、メガネ・補聴器の予備を持ち出し袋へ。家具固定や避難の手伝いを、家族や近隣とあらかじめ相談しておきましょう。
- 単身者: 助けを呼びにくいぶん、自分の備えがそのまま命綱です。水・食料・簡易トイレを確保し、ハザードマップと避難経路を一人で判断できるように。安否を知らせる連絡先を1つ決め、いざというときまず自分が率先して避難することを心がけます。
地域レイヤー補足
この記事は、全国どこでも必要な備えをまとめた全レイヤーの土台です。基本をそろえたら、お住まいの地域のリスクを上乗せしてください。都市部にお住まいの方は「都市直下型地震への備え」、太平洋側・西日本の沿岸の方は「南海トラフ地震への備え」を。そのうえで、必ずお住まいの市区町村のハザードマップで具体的なリスクを確認し、「自分のまちのリスクを確認する」で地域固有の情報に引き寄せてください。
まとめ
全国共通の基本の備えは、(1) 飲料水・食料(3日〜1週間、ローリングストック)、(2) 家具固定、(3) 持ち出し袋、(4) 安否確認手段、(5) ハザードマップ確認——この5つに集約されます。災害は全国どこでも起こりうるからこそ、特別なことではなく「ふだんの暮らしの延長」として備えるのが続けるコツです。今日はまず、自宅のハザードマップを確認することから始めましょう。
次のアクション(CTA): 「ハザードマップの見方|自宅の災害リスクと避難先の決め方」を見ながら、今週中に自宅周辺のハザードマップと最寄りの避難場所・避難経路を家族で確認しましょう。
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出典
- 地震調査研究推進本部 地震調査委員会「全国地震動予測地図2020年版」(公表: 2021-03 / 最終確認: 2026-06-18) — https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2020/
- 内閣府 防災情報のページ 特集「地震に備える」(家庭備蓄・家具固定)(公表: 2016-08 / 最終確認: 2026-06-18) — https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h28/83/special_03.html
- 総務省 災害用伝言サービス(災害用伝言ダイヤル171・web171)(公表: 2025-03 / 最終確認: 2026-06-18) — https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/net_anzen/hijyo/dengon.html
- 国土交通省・国土地理院 ハザードマップポータルサイト(公表: 2025-03 / 最終確認: 2026-06-18) — https://disaportal.gsi.go.jp/

