道迷い遭難の防ぎ方と、迷ったと気づいたときの行動|山岳遭難で最も多い態様への備え

道迷い遭難の防ぎ方と、迷ったと気づいたときの行動|山岳遭難で最も多い態様への備え 安全・気象・登山届

はじめに

「まだ大丈夫」と思って進んだ先で、来た道が分からなくなる——山岳遭難者の態様別で最も多いのは道迷いです(警察庁の概況。年と出典は下表)。この記事では、道に迷わないための備えと、迷ったかもしれないと気づいた直後にとるべき行動に絞ってまとめます。地図読み・コンパスの使い方の手順や、登山計画の立て方の手順は、この記事では扱いません。遭難全体の現状や統計の詳細は姉妹記事「山岳遭難を防ぐ備え」にまとめています。

主題の全体像

項目 内容
遭難者の態様別で最も多いもの(令和7年) 道迷い30.9%(次いで転倒19.2%、滑落17.3%)。出典: 警察庁生活安全局生活安全企画課「令和7年における山岳遭難の概況等」
想定読者 登山初心者〜中級者。あらゆる山域・コースで日帰り〜山小屋泊を行う人
この記事で扱う範囲 道迷いを防ぐ備えと、迷ったと気づいた直後の行動
扱わない範囲 地図読み・コンパスの使い方の手順、登山計画の立て方

表のとおり、この記事は「道に迷わないための備え」と「迷ったと気づいたときの行動」の2点を中心にまとめます。

装備リスト

必携装備

  • 紙の地形図・登山地図アプリ・コンパス: 携行して常に自分の位置を確認します
  • スマートフォン(GPS機能付き携帯電話): 自分の現在地を救援機関に伝えやすく、救助要請の手段として有効です。ただし多くの山岳では通話エリアが限られ、バッテリーの残量にも注意が必要です
  • 登山計画書(登山届)の控え: 提出後の行程確認用に携行します(家族・職場等への共有の意義は下記「1. 出発前」のとおりです)
  • ヘッドランプ・予備電池: 暗くなったときの備え。ただし栃木県警察 遭難した! 助かるためにどうする?は、下山途中に暗くなってしまったら、照明器具があっても無理に下山せず、夜露をしのぎ救助を待つよう案内しています

季節・ルートで追加する装備

道に迷わないための行動

1. 出発前

登山計画書(登山届)を作成し、家族や職場等と共有しておきます。警察庁の概況は、共有しておくことが万一の場合の素早い捜索救助の手掛かりになり、登山計画書・登山届は計画に不備がないかを事前に確認するものでもあるとしています。提出先・提出方法は後述「地図・登山届」のとおりです。紙の地形図・登山地図アプリ・コンパスを用意し、あらかじめルートを確認しておきます。

2. 行動中

地図の見方やコンパスの活用方法を習得し、地図やコンパス等を携行して、常に自分の位置を確認するよう心掛けます。紙地図と地図アプリを併用すると、より正確な位置を把握でき、道迷いの防止につながります。ペース配分・行動時間の目安は「日帰り登山の時間の決め方」を参考にしてください。

3. 迷ったかもしれないと気づいたら

闇雲に進まず、それまで歩いてきた道(トレース)をたどって正規の登山道まで引き返すなど、状況を的確に判断し、早めに登山を中止するよう努めます。

それでも自力で対処できないときは、救助を求めます。埼玉県警察 登山の基本は、登山中に道迷いや滑落などのアクシデントに遭遇した場合には、まずは落ち着いて周りの状況を認識し、自力で対処不能な場合には110番通報して救助要請を行うよう案内しています。通報したら、無理にその場を動かず救助を待ちます。栃木県警察も、道に迷ったら、むやみに動かず、携帯電話の電波が届く場所で救助を待つよう案内しています。

リスクと備え

警察庁の概況は、霧(ガス)や吹雪等による視界不良や体調不良時等には、道に迷ったり冷静さを失ったりして、滑落等の危険が高まるとしています。視界が悪い日や体調がすぐれないときほど、上記「3. 迷ったかもしれないと気づいたら」の行動を思い出してください。通報のしかたと伝える内容は姉妹記事「山での事故・遭難時の救助要請」にまとめています。けがや体調不良がある場合も、無理をせず救助要請・受診につなげてください(応急処置の手順はこの記事では扱いません)。

季節と気象

天候急変の前兆と、稜線・山頂からの撤退の判断基準は「山の天気が急変する前兆と撤退の判断」で確認してください。

地図・登山届

地図の携行と位置の確認は、上記「装備リスト」と「2. 行動中」のとおりです。登山計画書(登山届)を家族や職場等と共有しておく意義は、上記「1. 出発前」のとおりです。長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が必要です(長野県 登山安全条例(登山計画書の届出義務))。長野県はこの条例で指定登山道の通行時に届出を義務化していますが、ほかの県・山域での義務の有無は行き先ごとに確認してください。警察庁の概況は、作成した登山計画書・登山届を、登山口の登山届ポストやインターネット・登山地図アプリを活用して都道府県警察・自治体などに提出するよう求めています。書き方と提出先は姉妹記事「登山届(登山計画書)の書き方と提出先」にまとめています。コースタイム・規制・アクセスは改定・個人差があります。最新の公式情報を確認してください。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 登山計画書(登山届)を作成し、家族・職場等と共有し、提出した
  • ☐ 紙の地形図・登山地図アプリ・コンパスを携行する
  • ☐ スマートフォンを携行し、通話エリアが限られることとバッテリーの残量に注意する
  • ☐ 常に自分の位置を確認すると決めている
  • ☐ 道に迷ったかもと感じたら、闇雲に進まず、歩いてきた道を引き返すなど状況を的確に判断すると決めている
  • ☐ 自力で対処できないときは110番通報で救助を求めると決め、伝える内容を姉妹記事「山での事故・遭難時の救助要請」で確認している

よくある失敗と対策

  • 「まだ引き返せる」と思い込みそのまま進んでしまう: 迷ったかもと感じた時点で、闇雲に進まず、歩いてきた道を引き返すなど状況を的確に判断する
  • 紙の地図かアプリのどちらか一方だけに頼る: 両方を併用して現在地把握の精度を上げる
  • 登山計画書を作らず、または家族と共有せずに出発する: 作成して家族・職場等と共有し、提出しておく

まとめ

山岳遭難者の態様別で最も多いのは道迷いです(警察庁の概況・上表)。防ぐ備えは、地図やコンパスを携行して常に自分の位置を確認すること、紙の地図とアプリを併用すること、登山計画書を作成して家族・職場等と共有し提出することが基本です。迷ったかもと気づいたら、闇雲に進まず、歩いてきた道を引き返すなど状況を的確に判断し、早めに登山を中止しましょう。

次の一歩: 通報先や伝える内容は「山での事故・遭難時の救助要請」で確認しておきましょう。

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出典

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