山岳遭難を防ぐ備え|登山届・連絡・装備・保険の全体像

山岳遭難を防ぐ備え|登山届・連絡・装備・保険の全体像 安全・気象・登山届

はじめに

「まさか自分が遭難するとは」——山岳遭難は特別な人だけに起きるわけではありません。この記事では、警察庁の資料で遭難の起き方を確認したうえで、遭難を防ぐ備え(計画・登山届・連絡・装備・保険)の全体像をまとめます。登山届の書き方、道に迷ったときの行動、救助要請の手順、費用と山岳保険の考え方は姉妹記事(下記「関連記事」)に譲ります。

山岳遭難の現状

警察庁生活安全局生活安全企画課「令和7年における山岳遭難の概況等」によれば、令和7年の山岳遭難は発生件数・遭難者数とも前年より増え、態様別(遭難の起き方)では道迷いが最も多くなっています。

令和7年の山岳遭難 値
発生件数 3,122件(前年対比+176件)
遭難者数 3,623人(前年対比+266人)
態様別上位3(遭難者比) 道迷い30.9%/転倒19.2%/滑落17.3%

統計は年により変わるため、最新の値は同資料の最新版で確認してください。

遭難を防ぐ備えの全体像

遭難を防ぐ備えは、単一の対策ではなく「計画・登山届・連絡・装備・保険」を組み合わせて考えます。各論は姉妹記事に譲り、ここでは全体像だけを示します。

計画

無理のない行程を立てることが土台になります。出発・休憩・下山の時刻の見積もりは日帰り登山の時間の決め方を参考にしてください。

登山届

警察庁の概況によれば、登山計画書・登山届は、家族や職場等と共有しておくことで、万一の場合の捜索救助の手掛かりになるとともに、計画の不備を事前に確認する機能も持ちます。長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が条例で義務付けられています(長野県 登山安全条例(登山計画書の届出義務))。長野県のように条例で届出を義務付けている例があるため、行き先ごとに確認してください。

連絡

警察庁の概況は、作成した登山計画書・登山届を、一緒に登山する仲間、家族や職場等と共有するよう求めています。自分が事故や体調不良で動けなくなったときに救助を要請する手順は山での事故・遭難時の救助要請で確認してください。

必携装備

  • 地図・コンパス: 携行して常に自分の位置を確認します(下記「地図・登山届」)
  • 連絡用の通信機器と予備バッテリー: 警察庁の概況は、万一遭難した際に助けを呼ぶための連絡用通信機器(携帯電話、無線機、予備バッテリー等)を準備するよう挙げています

季節・ルートで追加する装備

保険

埼玉県防災ヘリコプターの救助活動に係る手数料のページで、埼玉県は、登山届の提出や山岳保険の検討など、もしもの時のために登る前にあらかじめ準備するよう呼びかけています。救助の費用の扱いと、登山届・山岳保険による備え方は山岳遭難の救助費用と山岳保険で確認してください。

リスクと備え

警察庁の概況は、登山計画を立てるときに、滑落等の危険箇所や、トラブル発生時に途中から下山できるルート(エスケープルート)等を事前に把握するよう求めています。

態様別で最も多い道迷いに気づいたときにどう動くかは、道迷い遭難の防ぎ方と、迷ったと気づいたときの行動にまとめています。けがや体調不良に気づいたら、無理をせず救助要請・受診につなげてください(応急処置の手順はこの記事では扱いません)。救助を呼ぶ判断や通報時に伝える内容は山での事故・遭難時の救助要請を確認してください。

天候急変に気づいたときの撤退の判断基準は山の天気が急変する前兆と撤退の判断にまとめています。

クマなど野生動物への備え(出会わないための行動と、出会ってしまったときの行動)の全体像は登山でのクマ・野生動物対策にまとめています。

地図・登山届

地図について、警察庁の概況は、地図の見方やコンパスの活用方法を習得し、登山には地図やコンパス等を携行して、常に自分の位置を確認するよう心掛けることを挙げています。地図読みの手順そのものは、この記事では扱いません。

登山届の書き方と提出先の詳しい手順は登山届(登山計画書)の書き方と提出先にまとめています。

山岳遭難対策中央協議会は「山岳遭難セーフティーカード」で、登山計画は必ず立て、登山届を提出するよう呼びかけています(山岳遭難対策中央協議会「山岳遭難セーフティーカード」)。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 行程は無理のない範囲で計画している
  • ☐ 登山計画書(登山届)を提出した
  • ☐ 長野県内の指定登山道を通る場合は、条例の届出義務を確認した
  • ☐ 登山計画書の控えを家族・職場に共有した
  • ☐ 行き先・季節に応じた装備と、連絡用の通信機器・予備バッテリーを準備した
  • ☐ 天候急変時の撤退基準を確認した
  • ☐ 危険箇所とエスケープルートを事前に把握した
  • ☐ 救助の費用への備えを確認した

よくある失敗と対策

まとめ

警察庁の概況によれば、令和7年の山岳遭難は発生件数・遭難者数とも前年より増え、態様別では道迷いが最も多く、転倒・滑落が続きます。遭難を防ぐ備えは、計画・登山届・連絡・装備・保険を組み合わせて考えることが大切です。各論の詳しい手順は姉妹記事で確認してください。

次の一歩: まずは次に登る山の登山計画書を作成し、登山届(登山計画書)の書き方と提出先で提出方法を確認しましょう。

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出典

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