トマトの尻腐れ症・疫病・うどんこ病と害虫対策|生理障害の予防ガイド

トマトの尻腐れ症・疫病・うどんこ病と害虫対策|生理障害の予防ガイド 野菜

はじめに

トマトを育てていて「実の底が黒く腐ってきた」「葉が白い粉をかぶったようになった」と戸惑った経験はないでしょうか。ミニトマト・中玉・大玉のいずれでも、生理障害の尻腐れ症や、疫病・うどんこ病といった病気、アブラムシやオオタバコガなどの害虫は起きやすいつまづきです。

この記事ではトマトで特に問題になりやすい生理障害・病気・害虫に絞り、原因と予防・対策を中心に解説します。用土や水やりの基本は姉妹記事に譲り、ここでは「見つけたときにどう動くか」を押さえましょう。

この野菜の基本(病害虫の視点から)

トマトはナス科の野菜で、疫病などはジャガイモ・ピーマンとも共通感染するため、これらを含む輪作には注意が必要です(タキイ種苗 病害虫・生理障害情報「トマト 疫病」)。用土づくりや水やりの基礎はトマトの植え付け・用土・水やりに譲り、ここでは病害虫・生理障害の予防に関わる点だけ押さえます。

病害虫・生理障害が出やすい時期の目安

症状・対象 出やすい時期の目安(地域・品種で前後)
尻腐れ症 実がつき、果実が肥大する時期(乾燥が続くと出やすい)
疫病・うどんこ病 生育期を通じて。うどんこ病は施設栽培で多発しやすい
アブラムシ 春から秋。世代交代が早く発生が続きやすい
オオタバコガ 初夏から秋(8〜10月に多い)。果実に潜り込んで食害する

尻腐れ症(生理障害)の予防と対処

トマトでよく見られるのが、実の尻(花落ち側)が黒っぽく腐る「尻腐れ症」です。カルシウムが実に十分に届かないことが原因で、発症した実は回復しません(サカタのタネ 花と野菜のよくある質問FAQ「トマトの実の尻部(果頂部)が黒くなって腐る原因と対策」)。

原因

サカタのタネ 花と野菜のよくある質問FAQ「トマトの実の尻部(果頂部)が黒くなって腐る原因と対策」は、(1) 土壌のカルシウムが不足している、(2) 過乾燥や窒素過多でカルシウムを吸えない、(3) 着果させすぎてカルシウムが不足する、の3つを挙げています。

予防・対策

以下はいずれも同じFAQが挙げる対策です。

  • 元肥に石灰質肥料を適量施す: 植え付け前の土づくりで、苦土石灰などカルシウムを含む資材を施します。
  • 適湿管理: 土づくりで根張りをよくし、マルチを張って土の過乾燥を防ぎます。
  • 窒素を効かせすぎない: 窒素過多や若苗の定植で草勢が強くなりすぎると発生を助長するので、苗づくり・定植・追肥のときに注意します。
  • カルシウム液肥の葉面散布: 発症した実は回復しませんが、カルシウムの液肥を葉面散布すると、それ以後の予防になります。
  • 着果させすぎない: 品種ごとの適切な摘果で、1房に実をつけすぎないようにします。わき芽かきや摘芯による樹勢管理の手順はトマトの仕立て(わき芽かき・支柱・摘芯)を参照してください。

疫病・うどんこ病の予防と対策

タキイ種苗 病害虫・生理障害情報「トマト 疫病」によると、疫病は糸状菌(かび)が原因で、葉には灰緑色の水がしみたような病斑が出て急速に広がり、暗緑色の大きな病斑になります。果実は未熟なものが侵されやすく、暗褐色の病斑が出て腐ります。ジャガイモ・ピーマンとも感染するため、これらと同じ場所での連作は避けるのが基本です。薬剤は予防散布が重要で、登録のある農薬を例年の発生時期を見込んで散布します。

うどんこ病は主に葉に出る病気で、葉の表面にうどん粉を振りかけたような白いかびが密生して黄化するタイプと、かびがほとんど見えず葉裏が赤褐色・葉表が黄色になるタイプがあります(タキイ種苗 病害虫・生理障害情報「トマト うどんこ病」)。露地では被害が少なく、主に施設栽培で多発するため、ハウス栽培では発生初期の徹底防除が重要です。登録薬剤(パレード20フロアブル、ダコニール1000など)のほか、生物農薬や脂肪酸系資材も利用できます。

アブラムシ・オオタバコガの予防と対策

タキイ種苗 病害虫・生理障害情報「トマト アブラムシ」によると、アブラムシは体長0.5〜3mmほどのセミやカメムシの仲間で、体色は灰色・緑色・赤色など種類によってさまざまです。葉や茎、果実の汁を吸って株を弱らせ、ウイルス病も媒介します。春から秋まで10回以上発生し、1〜2週間で激発することもあります。薬剤防除に加え、家庭菜園では発生の多い春に被覆資材を被せて成虫の侵入を防ぎます。マルチにシルバーマルチを使うと、アブラムシの害をかなり防げます(サカタのタネ 園芸通信「トマト、ミニトマトの育て方・栽培方法」)。

タキイ種苗 病害虫・生理障害情報「トマト オオタバコガ」によると、オオタバコガは蛾の仲間で、体長1〜4cmの緑色〜褐色の幼虫が果実に直径2mm〜1cmの穴をあけて潜り込み、内部を食害します。果実に潜り込んだ幼虫には薬剤が効かないため、穴やふんのある果実を見つけて切り取り処分するのが、家庭菜園では効果の高い方法です。5mm目合いのネットを被せて成虫の侵入・産卵を防ぐこともできます。長雨対策を含む収穫期の管理はトマトの収穫・雨よけ・長く穫るコツも参考にしてください。

チェックリスト(保存・印刷可)

  • ☐ 元肥に石灰質肥料を適量施した
  • ☐ マルチや水やりで土を過乾燥させない管理をしている
  • ☐ 窒素肥料が効きすぎていないか確認した
  • ☐ 尻腐れが出たら、以後の予防にカルシウム液肥の葉面散布を検討した
  • ☐ ジャガイモ・ピーマン跡地での連作を避けた
  • ☐ 施設栽培でうどんこ病の発生初期に登録薬剤で防除した
  • ☐ シルバーマルチや被覆資材でアブラムシの飛来を抑えている
  • ☐ 穴やふんのある被害果の見回り・除去や防虫ネットでオオタバコガに備えている

よくある失敗と対策

  • 実の尻が黒っぽく腐った: 尻腐れ症(カルシウム吸収不足)。発症した実は回復しないので、石灰質肥料の元肥施用と適湿管理を見直し、以後の予防にカルシウム液肥を葉面散布します。
  • 葉に水浸状の病斑が広がった: 疫病の疑い。ナス科の連作を避け、登録農薬を予防的に散布します。
  • 葉が白い粉をかぶった: うどんこ病。特に施設栽培で多発するため、初期発見と早めの薬剤・生物農薬散布で拡大を防ぎます。

まとめ

トマトの病害虫・生理障害対策は、(1) 尻腐れ症を防ぐ石灰質肥料と適湿管理、(2) 疫病・うどんこ病の輪作回避と予防散布、(3) アブラムシ・オオタバコガへの耕種的防除の組み合わせが要です。用土・水やりの基本や雨よけの工夫と合わせて実践すれば、被害を抑えて収穫まで導けます。

次の一歩: トマトの育て方の基本と栽培カレンダーで栽培全体の流れを確認し、日々の管理に本記事の病害虫対策を組み合わせましょう。

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出典

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